【そうだよー。もしかして、Mちゃんもこの近くに住んでるの?】

【うん。バスで30分くらい】

【そうだったんだ!意外と近いじゃん!それならさ、今度外で会ってみない?】


…外?


わたしのDMを打つ手が止まる。


この2年、一歩も家から出ていない。

外の世界は、スマホから得る情報だけ。


そんなわたしが、普通の人のように外を出歩けるのだろうか。


すぐに返信はしなかった。

さっちんには悪いけど、いったんDMはそこで止めた。


その日の夜。

わたしはお母さんに相談した。


「ねぇ、お母さん」

「ん?どうかした?」

「…わたしって、外に出ても大丈夫かな」


その言葉に、お母さんは目を丸くする。


「出かけるってこと…?」

「うん。でも、外に出るのは久しぶりだから…なんだかちょっとこわくって」