わたしの小さくて消え入りそうな声。

その声を聞き逃すまいと、お母さんはなにも発せずにただうなずくだけ。


「あの…、夜ごはん…。いっしょに食べようかなって。…だから、わたしも…手伝うよ」


やっとのことで声を絞り出したわたしを見て、お母さんは微笑みながらぽろりと涙を流した。


その日から、わたしはお母さんと夜ごはんをいっしょに食べるようになった。

しばらくすると、朝ごはんもいっしょに。


どこかで、お母さんはこんななにも取り柄のない引きこもりのわたしをいっそのこと見捨てたいのではないかと思っていた。


だけど、わたしと食事をするお母さんはいつも楽しそうで。

嘘偽りのないその笑顔に、わたしの心の中が温かさで満たされていき――。


わたしも自然と頬がゆるんでいた。


「それじゃあ、みのり。あとよろしくね」