卒業式が終わった直後の午前11時。卒業生が次々と校舎から巣立っていく。記念撮影をしたり、先生たちと最後の挨拶をしている中、雅記は大急ぎで帰っていった。
──やはり、静香の言うとおり雅記は午後1時に家を出るのだ。
遥菜は確信した。
「よし、作戦どおりやるよ」
作戦の首謀者である亜希は、余程楽しいのか、目を輝かせている。
「怖いよ」
一方で遥菜は、怖じ気づいていた。
二人は、ストップウォッチや雅記の音源のCDなどを準備し、グリーンクリエイティブFMの前で、その時を待つ。
「遥菜、もう、覚悟はできた?」
「覚悟だなんて。それよりドキドキだよ」
「これくらいで、呑み込まれてるようじゃ、プロのアナウンサーなんてなれないよ」
「そうだね」
いよいよ遥菜も、戸惑いが吹っ切れてきた。
その時、12時50分。
二人は、ラジオ局の社屋の呼び鈴を押した。
「はい、どなたですか?」
ラジオ局のスタッフが応答する。
「いなべ高校の生徒です。オリジナルの楽曲をつくったので、ぜひディレクターさんに聴いてほしいと思って持ってきました」
「はい、ちょっと待ってね」
しばらくすると、先日出演のお願いを断った男性スタッフが出てきた。
「あ、君たちは先週ここに来た……」
「ごめんなさい! 許して!」
「え?」
遥菜は男性スタッフを突き飛ばし、社屋に侵入する。
「おい、何をしてるんだ?」
男性スタッフの怒りの声を無視して、二人は社屋を奥へと走る。ラジオ局の他のスタッフが集まって二人を止めようとするが、それを力でねじ返す。目の前にスタジオが見えた。ドアの前でスタッフに取り囲まれ、「やめろ!」「これから生放送が始まるんだ、出て行け!」と罵声を浴びせられる。
「ごめんなさい。今から私たち、このラジオ局をジャックします!」
亜希の叫びにスタッフはどよめく。
「3分間だけ、私たちにトーク時間をください。ごめんなさい!」
遥菜は叫びながら防音の重いドアを開けて、二人はスタジオに押し入った。そして中にいた女性パーソナリティを強引に押し出すと、中から鍵をかけイスや机をドアの前に並べて立てこもった。
──やはり、静香の言うとおり雅記は午後1時に家を出るのだ。
遥菜は確信した。
「よし、作戦どおりやるよ」
作戦の首謀者である亜希は、余程楽しいのか、目を輝かせている。
「怖いよ」
一方で遥菜は、怖じ気づいていた。
二人は、ストップウォッチや雅記の音源のCDなどを準備し、グリーンクリエイティブFMの前で、その時を待つ。
「遥菜、もう、覚悟はできた?」
「覚悟だなんて。それよりドキドキだよ」
「これくらいで、呑み込まれてるようじゃ、プロのアナウンサーなんてなれないよ」
「そうだね」
いよいよ遥菜も、戸惑いが吹っ切れてきた。
その時、12時50分。
二人は、ラジオ局の社屋の呼び鈴を押した。
「はい、どなたですか?」
ラジオ局のスタッフが応答する。
「いなべ高校の生徒です。オリジナルの楽曲をつくったので、ぜひディレクターさんに聴いてほしいと思って持ってきました」
「はい、ちょっと待ってね」
しばらくすると、先日出演のお願いを断った男性スタッフが出てきた。
「あ、君たちは先週ここに来た……」
「ごめんなさい! 許して!」
「え?」
遥菜は男性スタッフを突き飛ばし、社屋に侵入する。
「おい、何をしてるんだ?」
男性スタッフの怒りの声を無視して、二人は社屋を奥へと走る。ラジオ局の他のスタッフが集まって二人を止めようとするが、それを力でねじ返す。目の前にスタジオが見えた。ドアの前でスタッフに取り囲まれ、「やめろ!」「これから生放送が始まるんだ、出て行け!」と罵声を浴びせられる。
「ごめんなさい。今から私たち、このラジオ局をジャックします!」
亜希の叫びにスタッフはどよめく。
「3分間だけ、私たちにトーク時間をください。ごめんなさい!」
遥菜は叫びながら防音の重いドアを開けて、二人はスタジオに押し入った。そして中にいた女性パーソナリティを強引に押し出すと、中から鍵をかけイスや机をドアの前に並べて立てこもった。