「どうするのよ?」
雅記が校門から去った後、帰り道で亜希は、遥菜を心配そうに話しかける。
「そんなこと、言われても。雅記先輩からダメだって言われたんだから、諦めるしかないよ」
「いいの?」
「雅記先輩が悲しんでいたから、私も辛かったのよ。もう、そっとしておいた方がいいのかなって思う」
「本当は、誰かが傍にいてほしいんだと思うよ。そしたら、もっと才能を伸ばすかも」
「そんなの、私にできないよ」
「遥菜ってさ、本当は、ただカレシになって付きまといたいだけじゃなくて、一緒に夢を持って成長したいんでしょ」
「うん、私も雅記先輩みたいに努力して、認められて、いつかプロのアナウンサーになりたい。だから放送部に入ったんだもん。まだまだ夢は遠いけど、雅記さんと一緒なら頑張れるような気がして」
「それを伝えようよ」
「だから、無理だって」
「諦めないで! 同じ志を持った放送部員でしょ。伝えなきゃダメ。伝えることで初めて救われたり、喜んだり、涙を流す人がいるんだよ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
すると背後から、遥菜の方をたたく人がいる。遥菜は驚いて振り向いた。
「よっ」
「静香先輩!」
先日インタビューに協力してくれた、雅記のクラスメートだ。3年生だからすでに部活は引退しているが、放送部のOBでもある。
「雅記くんはね、車に乗っている時、いつも地元のラジオ局、グリーンクリエイティブFMの放送を聴いてるよ。雅記くんのお母さんから聞いたから間違いない」
静香は雅記と幼馴染だから、遥菜が知らない情報をたくさん知っている。遥菜は静香の説明を食いつくように聞いた。
「そうなんですか?」
「引っ越すのは、来週の火曜日で、午後1時には親と車で家を出るみたい。だから、……」
「だから?」
「来週の火曜の午後1時にグリーンクリエイティブFMに出演して、想いを伝えたら雅記くんは聴いてるよ」
「やったじゃん、遥菜! ありがとうございます、静香先輩」
「いやいやいや、それってラジオだからみんなに聞かれるじゃないですか! 恥ずかしいし、無理です。無理無理無理」
「もう、やっちゃいなよ、遥菜。これは放送部員としての誇りをかけた戦いだよ」
どういう訳か、亜希の方が遥菜よりも燃え上がっている。
「いや、ちょっと待って。それに、そんなに簡単にラジオには出演できないよ」
「そうだね、何とかしなきゃ」
雅記が校門から去った後、帰り道で亜希は、遥菜を心配そうに話しかける。
「そんなこと、言われても。雅記先輩からダメだって言われたんだから、諦めるしかないよ」
「いいの?」
「雅記先輩が悲しんでいたから、私も辛かったのよ。もう、そっとしておいた方がいいのかなって思う」
「本当は、誰かが傍にいてほしいんだと思うよ。そしたら、もっと才能を伸ばすかも」
「そんなの、私にできないよ」
「遥菜ってさ、本当は、ただカレシになって付きまといたいだけじゃなくて、一緒に夢を持って成長したいんでしょ」
「うん、私も雅記先輩みたいに努力して、認められて、いつかプロのアナウンサーになりたい。だから放送部に入ったんだもん。まだまだ夢は遠いけど、雅記さんと一緒なら頑張れるような気がして」
「それを伝えようよ」
「だから、無理だって」
「諦めないで! 同じ志を持った放送部員でしょ。伝えなきゃダメ。伝えることで初めて救われたり、喜んだり、涙を流す人がいるんだよ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
すると背後から、遥菜の方をたたく人がいる。遥菜は驚いて振り向いた。
「よっ」
「静香先輩!」
先日インタビューに協力してくれた、雅記のクラスメートだ。3年生だからすでに部活は引退しているが、放送部のOBでもある。
「雅記くんはね、車に乗っている時、いつも地元のラジオ局、グリーンクリエイティブFMの放送を聴いてるよ。雅記くんのお母さんから聞いたから間違いない」
静香は雅記と幼馴染だから、遥菜が知らない情報をたくさん知っている。遥菜は静香の説明を食いつくように聞いた。
「そうなんですか?」
「引っ越すのは、来週の火曜日で、午後1時には親と車で家を出るみたい。だから、……」
「だから?」
「来週の火曜の午後1時にグリーンクリエイティブFMに出演して、想いを伝えたら雅記くんは聴いてるよ」
「やったじゃん、遥菜! ありがとうございます、静香先輩」
「いやいやいや、それってラジオだからみんなに聞かれるじゃないですか! 恥ずかしいし、無理です。無理無理無理」
「もう、やっちゃいなよ、遥菜。これは放送部員としての誇りをかけた戦いだよ」
どういう訳か、亜希の方が遥菜よりも燃え上がっている。
「いや、ちょっと待って。それに、そんなに簡単にラジオには出演できないよ」
「そうだね、何とかしなきゃ」