このチームで優勝したいと思っていた心に、ピシっとヒビが入っていった。

 深く、長く伸びたそれは、それからも時折刻まれた。

「近藤先輩って厳しすぎ」
「指図ばっかで嫌になる」
「ちょっと自分がうまいからって、調子乗ってんじゃない?」

 いくら練習に集中していようとも、どうしても気になってしまうわたしへの愚痴。

 だったら耳なんかいらないと思った。こんな地獄耳は切って捨てて、練習だけに没頭したいと。

 落ち込むわたしには、同学年の仲間が「気にしないくていいよ」と言ってくれた。「これだけ大勢いたら、少しくらいそんな意見も出てくるんだから仕方ないよ」って、優しく肩を叩いてくれた。

 だけどそれでも、わたしは気になって気になって、どうしようもなかった。

 そのうち、後輩のほとんどがわたしにツンケンした態度をとるようになって、わたしは後輩みんなに嫌われているような気がしてきて、体育館に行くのも億劫になって。

 授業中も、放課後にある部活動のことばかりを考えていたら、登校することさえも嫌になった。

 もちろん、鈴木ちゃんみたいに明るくわたしと接してくれる子もいないわけではないけれど、それはほんのごく一部で、あとの全員には鬱陶しがられている感覚に陥った。