*****
「バスケ部の、近藤先輩ですか?」
眉はしゅっと伸びていて、目鼻立ちが上品で、肌は羨むほどに綺麗。
イケメンと呼ばれる類に入ってもおかしくはない都丸くんに初めて話しかけられたのは、今から一年ほど前の、秋口。夕方の校舎の玄関。
バスケ部の先輩たちが引退し、わたしたちの学年の代になってわりとすぐ。顧問から部長を任されたわたしが、毎日思い悩んでいる頃のことだ。
「えっと、そうだけど。どうしてわたしの名前を知ってるの?」
部長のわたしはいつも、体育館の鍵を職員室に返しに行ってから校舎を後にするので、他のどの部員よりも、帰宅が遅い。
同じ部活でもなければ、学年だって異なる都丸くんが、一体何故わたしの名前を知っているのかと不思議に思い、率直に聞けば。
「近藤先輩の噂は、聞いてますんで」
と、爽やかに微笑まれた。
開放されていたドアから、金木犀の香りが運ばれてくる。この時のわたしがドキッとしたのは、この柔和で甘い花の匂いのせいだ。
「バスケ部の、近藤先輩ですか?」
眉はしゅっと伸びていて、目鼻立ちが上品で、肌は羨むほどに綺麗。
イケメンと呼ばれる類に入ってもおかしくはない都丸くんに初めて話しかけられたのは、今から一年ほど前の、秋口。夕方の校舎の玄関。
バスケ部の先輩たちが引退し、わたしたちの学年の代になってわりとすぐ。顧問から部長を任されたわたしが、毎日思い悩んでいる頃のことだ。
「えっと、そうだけど。どうしてわたしの名前を知ってるの?」
部長のわたしはいつも、体育館の鍵を職員室に返しに行ってから校舎を後にするので、他のどの部員よりも、帰宅が遅い。
同じ部活でもなければ、学年だって異なる都丸くんが、一体何故わたしの名前を知っているのかと不思議に思い、率直に聞けば。
「近藤先輩の噂は、聞いてますんで」
と、爽やかに微笑まれた。
開放されていたドアから、金木犀の香りが運ばれてくる。この時のわたしがドキッとしたのは、この柔和で甘い花の匂いのせいだ。