その日の夜。わたしは自室の机の引き出しの中身をひっくり返した。

 気付けばこんなにも溜まってたんだ……

 今までにもらった手紙は、全て捨てずにこの中へとっといてある。改めて読み返すと、今日の送別会でのスピーチが頭を過ぎていく。

『近藤先輩の言うことが正しかったって、ようやく気付くことができました!』

『最近わたしにスタミナがついてきたのは、近藤先輩のおかげです!』

『熱心な近藤先輩が、大好きです!』

 これ等は皆、都丸くんが書いたもので間違いなし。
 だけどこれ等は皆、バスケ部の後輩たちの言葉を代弁したものだった……?

 読みもせずに、折り畳まれたまま、スカートのポケットへ突っ込んでしまった最後の手紙。
 それをそっと開いてみると、そこにはこんな文章が書かれていた。

『近藤先輩が学校を卒業しても、また会いたいです』