「ご、ごめんね都丸くん。捲し立てるように聞いちゃって……」
「いえ、そんな」
「でも、どうしても知りたかったからちょっとショックだったんだ。わたしの高校生活、ほんとあの手紙に助けられたからさ。どうしても、最後に直接お礼を言いたかったから……」

 手紙の何を知るわけでもない都丸くんに、こぼしてしまった胸の内。はっと我に返ったわたしは、再び彼に謝った。

「ごごご、ごめん都丸くん!都丸くんにとっては、なんのことか意味わからない話なのに!」
「あ、ちょっとっ」

 慌てて上履きに履き替えて、「じゃ!」と都丸くんに見せる背中。その背中を呼び止めたのは、紛れもなく彼だった。

「あ、あの!近藤先輩!」

 その声に振り向き、視線を投げた。すると目に飛び込んできたものは、グッと強く握られたホウキの柄。
 どこか緊張しているような雰囲気が、都丸くんから漂っていた。

「なに、都丸くん」

 真っ直ぐと交わる、ふたりの視線。

 こんなにも長いこと見つめ合ったのは初めてだったから、ドキドキした。