「では、私に代わって愛沢くん、文化祭の出し物を決めて下さい」



は、と喉が鳴った。思わず目を見開く。呼吸が徐々に浅くなっていく。


決める?僕が?何を?


視界がぼやけてクラスメイトが歪む。



「愛沢くん?」



誰だ。この人は。


正気に戻れ正気に戻れ正気に戻れ。僕は心の中でそう唱えた。



「い、今行きます」



学代と入れ違いに僕は教卓の後ろに立った。


視線が突き刺さる。


別に緊張してるわけじゃない。ただ、怖かった。数十の目が僕を見つめてる。長い沈黙が流れる。


何か言わなきゃ。僕は口を開いた。


だが、最初に飛んだ言葉は僕のものではなかった。



「早くしてくんね?」



ドクン。心臓が大きく鳴る。だったらお前がやれよと誹謗する。


その言葉を合図だというかの様に次々と声を上げるクラスメイト。



「待って…下さい」



僕のできる限りの大声でそう叫んだ。でも、静かになるわけが無かった。それを見越した担任が生徒をまとめる。最初からそうしてくれと思った。



「えっと、何かやりたいことがある人はいますか?」