どうする?断る?いや、そんなことをしたら何が待っているか分からない。最悪いじめだってあり得る。穏便に事を進めるには僕が実行委員になる他ないだろう。



「……はい」



弱々しく、今にも消え入りそうな声で同意の意を示した。



「おっしゃあ!じゃあ任せたぞ、愛沢」



島田透が一番に歓喜の声をあげた。今日初めて関わった(一方的に関わられた)が、僕は今コイツが嫌いになった。直(じき)に名前も忘れるだろう。


そして続々とクラスメイトが歓喜の声をあげる。小さな「はい」だったのに…。こういうときにだけ聞こえる都合のいい耳。



「ありがとう、愛沢くん」



「みんなのために動いてくれる愛沢くんカッコいい」



「大変なときはいつでも言ってくれよな」



全部どうせ口だけ。本心はそう思ってないことくらい分かりきっている。


こんなことを考えていると自己肯定感が低いだとか、とやかく言われるのだろう。その通りだった。六月に行ったアンケートで担任に自己肯定感が低過ぎる、と心配されたくらいだ。


でもそんなのどうでもよかった。僕は僕で生きていく。自分がなかろうと、あの人の期待に添えればいい。