ーー30分後。
颯斗の家を出てから予約しているホテルに到着した沙耶香は、リムジン前に立ち並んでいる右京と左京に告げた。
沙耶香「右京、左京。これから一ヶ月間、沙耶香は自力で颯斗さんとの生活を頑張ります。だから、心配しないで」
右京「ううおぉん(貧乏生活が心配で仕方がありません)」
沙耶香「大丈夫。きっとすぐに慣れます」
左京「お嬢様……。何かあったらすぐに連絡して下さい。この左京が必ずお力になりますから」
沙耶香「わかりました。スマホは肌身離さず持つようにします。右京、そんなに泣かないで……。大丈夫、たったの一ヶ月間ですから」
沙耶香は心配が尽きない二人にそう言うと、両手いっぱい広げてギュっと抱きしめた。
ーー深夜1時45分。
颯斗は自宅の布団に入り暗闇に包まれている天井を眺めながら沙耶香の事を考えていた。
あのサヤって子、相当な変わり者だよな。
アイドルに見間違えてしまうくらい可愛いくて言いたい事をきちんと伝えるタイプだけど、何故かロボットのように口だけ動いてるように見えていた。
それに、何を話していても感情が見えてこないと言うか、瞳に光が入っていないと言うか……。
人一倍寂しい目をしているのが気になって仕方ない。