馬車から降りてきた少女――いや幼女かな?
濡れ羽色っていうのだろうか。
カラスの羽が濡れたようなしっとりと艶のある黒髪を、背中のあたりまで伸ばした――小さな女の子だった。
身長は140センチくらい。
174センチの俺と比べると頭1つ分以上小さかった。
だというのに――胸は女騎士に勝るとも劣らずのビッグサイズときたもんだ。
自然、俺の視線もそこへと吸い寄せられる。
あどけない童顔と低身長なのにこの圧倒的なサイズ……、
「これがロリ巨乳ってやつか……」
大きなダイヤモンドを慎重に見定める鑑定士のような、すこぶる神妙な面持ちで言った俺に、
「お主いきなり失礼な奴じゃの!?」
幼女は大きな声で抗議をしてきた。
「あれ、俺また口に出してた?」
「出しまくっとるわい! 雨後のタケノコのごとくバンバン出しまくっとるわい!」
「ごめん、悪気はなかったんだ……」
今のは120%こっちが悪かったので俺は素直に謝罪した。
あまりに素晴らしいものを見せられて、一瞬我を忘れてしまったようだ。
「いや良いのじゃよ……なにせこたびはそなたに命を助けられたからの。それくらい全然ちっとも構わんのじゃ……ちいさいことなんぞ別に気はしておらんのじゃからの……ぐすん……なにゆえ長身種族であるにもかかわらず、妾の身長はこうまで伸びんのか……」
そんなイジイジいじけた幼女の服装は、上は白の半そでブラウスだった。
袖口や襟元にピンクのチェックが入った可愛らしいデザインだ。
下もそれに合わせたピンクチェックのプリーツスカートで、見ようによっては学生服のように見えなくもなかった。
「時にそなた、精霊術の使い手じゃな? しかも冴えわたる剣の腕。よほど名のある【精霊騎士】と見た。馬車から全て見ておったのじゃ。あれほど完璧に姿を消して見せるには、光の上位精霊【ルミナリア】と契約せねば不可能じゃからの」
「へぇ、そこまで分かるのか。そうだよ俺は【精霊騎士】だ」
「やはりの。しかしただでさえ珍しい【精霊騎士】が――それもそなたのように並外れた使い手がどうしてこのような僻地に? 見たところそなたは人間であろう?」
「まぁ色々あってね――っていうかその聞き方。もしかしてお前ら魔族なのか?」
頭の中でおおまかな地理を確認すると、既にこの辺りは【南の魔王】が治める【南部魔国】に入っていた。
「あ、私はハーフのエルフなんです。ミスティと申します」
女騎士――ミスティが手を上げて自己紹介をする。
「エルフか――どうりで美人のはずだ」
美男美女が多くもっとも容姿に優れた種族、それがエルフだ。
「純血エルフではなくハーフですけどね。そしてこのお方こそ――」
「ふふん、聞いて驚くがよい、妾はなんと鬼族よ」
「……ツッコミどころ満載なんだけどいいかな?」
「なんじゃ?」
「鬼族は全体的に背が高いくらいで、確かに見た目は人間族とほとんど変わらない。でも大きな違いが一つだけある。額に角があることだ」
しかも鬼族ときたら身体能力が全種族でダントツ最高に優れていて、どいつもこいつも一騎当千でめっぽう強いときたもんだ。
小さな子供でも自分より大きなクマを殴り殺すという鬼族は、正直一番戦いたくない相手だった。
こんな野盗に襲われたくらいでピンチになっちゃう鬼族なんて聞いたことがない。
「角ならあるのじゃ?」
「角がないのに鬼族って言われてもな――え、あるのか? どこにだよ?」
「ほらここ! ここ! よーく触ってみるのじゃ!」
幼女は自分の前髪を左手で持ち上げると、右手で生え際あたりをぺちぺちと叩きはじめた。
「ほら、の? この辺りを触ってみるがよい。ちょっとだけ出てるおるじゃろ?」
言われたので、おでこの上の方をさすってみたんだけど――、
「……ごめん、全くわからん」
俺は正直な感想を告げた。
「いやほらちゃんと触って!? よーく触ればちみっと出ておるのじゃ、ちゃんと出ておるのじゃ! なんとなくあるようなないような感じで出ておるのじゃ! 妾はれっきとした鬼族であるからして!」
「分かった分かった。そう言うことにしといてやるよ。角はあるよ、あるある、ここにあるよ。お前は確かに鬼族だ」
「ううっ、その態度、まったく信じておらんのじゃ。本当なのに……」
「はいはい。で、鬼族は魔族の中でも特に数が少ないレア種族だろ? それがこんな人間の領地に近い境界線で何をしてるんだ?」
「ふふん、それはのぅ。聞いて驚くがよい!」
そう言うとちびっこ鬼族(自称)は胸を張って若干偉そうに言った。
背は低いのに胸は激しく自己主張していて、俺の好みにストライクすぎて困る。
つまり俺は巨乳が好きなのだった。
おっと話がそれちゃったので戻そう。
濡れ羽色っていうのだろうか。
カラスの羽が濡れたようなしっとりと艶のある黒髪を、背中のあたりまで伸ばした――小さな女の子だった。
身長は140センチくらい。
174センチの俺と比べると頭1つ分以上小さかった。
だというのに――胸は女騎士に勝るとも劣らずのビッグサイズときたもんだ。
自然、俺の視線もそこへと吸い寄せられる。
あどけない童顔と低身長なのにこの圧倒的なサイズ……、
「これがロリ巨乳ってやつか……」
大きなダイヤモンドを慎重に見定める鑑定士のような、すこぶる神妙な面持ちで言った俺に、
「お主いきなり失礼な奴じゃの!?」
幼女は大きな声で抗議をしてきた。
「あれ、俺また口に出してた?」
「出しまくっとるわい! 雨後のタケノコのごとくバンバン出しまくっとるわい!」
「ごめん、悪気はなかったんだ……」
今のは120%こっちが悪かったので俺は素直に謝罪した。
あまりに素晴らしいものを見せられて、一瞬我を忘れてしまったようだ。
「いや良いのじゃよ……なにせこたびはそなたに命を助けられたからの。それくらい全然ちっとも構わんのじゃ……ちいさいことなんぞ別に気はしておらんのじゃからの……ぐすん……なにゆえ長身種族であるにもかかわらず、妾の身長はこうまで伸びんのか……」
そんなイジイジいじけた幼女の服装は、上は白の半そでブラウスだった。
袖口や襟元にピンクのチェックが入った可愛らしいデザインだ。
下もそれに合わせたピンクチェックのプリーツスカートで、見ようによっては学生服のように見えなくもなかった。
「時にそなた、精霊術の使い手じゃな? しかも冴えわたる剣の腕。よほど名のある【精霊騎士】と見た。馬車から全て見ておったのじゃ。あれほど完璧に姿を消して見せるには、光の上位精霊【ルミナリア】と契約せねば不可能じゃからの」
「へぇ、そこまで分かるのか。そうだよ俺は【精霊騎士】だ」
「やはりの。しかしただでさえ珍しい【精霊騎士】が――それもそなたのように並外れた使い手がどうしてこのような僻地に? 見たところそなたは人間であろう?」
「まぁ色々あってね――っていうかその聞き方。もしかしてお前ら魔族なのか?」
頭の中でおおまかな地理を確認すると、既にこの辺りは【南の魔王】が治める【南部魔国】に入っていた。
「あ、私はハーフのエルフなんです。ミスティと申します」
女騎士――ミスティが手を上げて自己紹介をする。
「エルフか――どうりで美人のはずだ」
美男美女が多くもっとも容姿に優れた種族、それがエルフだ。
「純血エルフではなくハーフですけどね。そしてこのお方こそ――」
「ふふん、聞いて驚くがよい、妾はなんと鬼族よ」
「……ツッコミどころ満載なんだけどいいかな?」
「なんじゃ?」
「鬼族は全体的に背が高いくらいで、確かに見た目は人間族とほとんど変わらない。でも大きな違いが一つだけある。額に角があることだ」
しかも鬼族ときたら身体能力が全種族でダントツ最高に優れていて、どいつもこいつも一騎当千でめっぽう強いときたもんだ。
小さな子供でも自分より大きなクマを殴り殺すという鬼族は、正直一番戦いたくない相手だった。
こんな野盗に襲われたくらいでピンチになっちゃう鬼族なんて聞いたことがない。
「角ならあるのじゃ?」
「角がないのに鬼族って言われてもな――え、あるのか? どこにだよ?」
「ほらここ! ここ! よーく触ってみるのじゃ!」
幼女は自分の前髪を左手で持ち上げると、右手で生え際あたりをぺちぺちと叩きはじめた。
「ほら、の? この辺りを触ってみるがよい。ちょっとだけ出てるおるじゃろ?」
言われたので、おでこの上の方をさすってみたんだけど――、
「……ごめん、全くわからん」
俺は正直な感想を告げた。
「いやほらちゃんと触って!? よーく触ればちみっと出ておるのじゃ、ちゃんと出ておるのじゃ! なんとなくあるようなないような感じで出ておるのじゃ! 妾はれっきとした鬼族であるからして!」
「分かった分かった。そう言うことにしといてやるよ。角はあるよ、あるある、ここにあるよ。お前は確かに鬼族だ」
「ううっ、その態度、まったく信じておらんのじゃ。本当なのに……」
「はいはい。で、鬼族は魔族の中でも特に数が少ないレア種族だろ? それがこんな人間の領地に近い境界線で何をしてるんだ?」
「ふふん、それはのぅ。聞いて驚くがよい!」
そう言うとちびっこ鬼族(自称)は胸を張って若干偉そうに言った。
背は低いのに胸は激しく自己主張していて、俺の好みにストライクすぎて困る。
つまり俺は巨乳が好きなのだった。
おっと話がそれちゃったので戻そう。