展望ロビーの窓の向こう、地上百二十メートルから見下ろす街は、夏の雨にくすんでいる。
 夜の闇に包まれることにあらがうように、白や黄色、赤いランプがあちこちに灯っていた。

 アイスカフェオレを半分残し、恵美は黙ってその風景を眺めている。
 もう怒ってはいないようだ。

 形のいい小さな顎から白い首へとつながるラインが、美しい。
 しばらく前から、自分の中に芽生えた想いを自覚していた。
 だからこそ、五歳下で就活生のようだと自分自身に思い込ませる努力をしてきた。