折り鶴は、ちゃんと仕事を果たした。
 少しして、キヨとウサ子は折り鶴を持って「お呼びでしょうか」とやってきたのだ。

「桜子さんは天才だな! すごい、すごいっ」

 京也は全力で成功を喜んで、桜子に自信をつけてくれた。

「京也様やみなさまのおかげです、ほんとうにありがとうございます……!」

(もっと練習して、私はこの力を親しい人々や、世の中のために役立てたい!)

 桜子は、そう思った。

 キヨやウサ子が来たところで、京也は「本日はこれくらいにしようか」と終わりを告げた。

 キヨは自室に戻った桜子に付いてきて、煎茶を出してくれた。
 
「折り鶴が生き物みたいで、可愛いですねえ」
「ずっと動かし続けるのは大変みたい。もう動かなくなっちゃった」
 
 桜子はテーブルの上に折り鶴を置いて指先で撫でてから、陰陽五行について書かれた教本を本棚に入れた。
 本棚には高等学校の教科書が並んでいて、なんとなく手が伸びる。

 教科書を開くと、懐かしい気分になる。
 教科書は、くたびれていてページがくたくただ。最初は折り目もない新品だった。
 1ページ1ページ、1日1日、桜子が持ち歩いて読みこんで、くたくたになったのだ。

「あるじさま、おべんきょうがおすき」

 もみじの無邪気な声に、桜子は頷いた。

「せっかくですから、また通ってみては」

 キヨが勧めてくれる。

「……行ってみようかな」

 桜子は、帝立高等学校に再び通うことにした。