「へぇ、かしこまりました。この青いバラは交配やらなんやらをしてやっとこさ数株できたそうなんですが、まだまだ安定しないそうでして」
「具体的には?」
「交配するとすぐに元の色に戻ったり、そもそも花を付けなかったりするそうです」
「なるほどね。まだまだ研究途中なのね? でもそんな研究がされているなんて、今の今まで知らなかったんだけど」
アイリーンに「あんたはどうなの?」って視線を向けると、
「花といえば王立文化庁の管轄ですよね? でも私もそんな話は聞いたことはありません。アルベルトさん、そこのところも説明していただけますか?」
アイリーンは色々察して追加の質問までしてくれた。
さすが私の専属メイド、出来がいいわ。
さすが私。
「へぇ、これはあっしの古い友人が、個人で細々と研究しておりまして。この株も、彼が食費も削って研究費に費やす貧乏姿を見るに見かねて、前にいくらか金子を融通してやったんですが。そのお礼ということでもらったものでして」
「その貧乏研究家ってのを、今すぐ私に紹介しなさい! 今すぐよ! 今日の仕事はそれ以外しなくていいわ!」
「へ、へぇ。それはもちろん構いやせんが……」
「アイリーン、馬車を用意しなさい! ASAP(考えられうる最速で)!」
「かしこまりました!」
私はアルベルトの案内で、馬車を飛ばして貧乏研究家の住む小さな農園に会いに向かった。
そして顔を合わせるや否や言った。
「あんたの貧乏暮しは今日この時点で終わりよ。すぐに支度をして、今日からはセレシア侯爵家の専属庭師として、青いバラの開発に励みなさい。研究費はいくらいるの? 他に必要なものは? あなたが必要とするものは、私が全て用立ててあげるわ。全てね」
貧乏人らしく、たかだか500万ほどのはした金を、実に申し訳なさそうに用意してもらえないでしょうかと言われたので、私はその10倍の5000万の研究資金を用立ててやることにした。
さらに広大なセレシア侯爵家の庭園に、バラ開発専用の温室付きの研究ラボを用意してあげることも約束する。
「マリア様をお疑いするわけではありませんが、どうしてこれほどの莫大な援助をしていただけるのでしょうか?」
貧乏研究家が恐縮しきりといった様子で、恐るおそる尋ねてくる。
私はいつも通り端的に答えた。
「青いバラ(が持つ令嬢マウント力)に魅入られたから。ただそれだけよ」
「なんと!! 実は私も青いバラ(というロマン)に魅入られたのです! ありがとうございます、マリア様。私はこれより全ての時間を費やして、なんとしてでも青いバラを完成させてみせましょう!」
貧乏研究家は涙を流しながらこうべを垂れた。
「ただし条件が一つあるわ。青いバラが完成したら、その株の使用権は私だけに使わせなさい」
「私は青いバラを完成させることだけが、唯一の目的です。完成さえすれば、後はマリア様のお好きなようにしていただいて、何の問題もございません。それにマリア様なら、きっと素晴らしい使い方をしてくれることでしょうから」
や、やったー!
やったわ!!
これで青いバラは私だけのものよ!
さぁさぁ、さっさと青いバラを完成させて私に献上しなさいな!
こうして莫大な研究資金と豪華な開発ラボを手にした貧乏研究家は、研究を一気に加速させた。
その過程で様々な新種のバラを次々と開発しながら、見事に青いバラの開発を成し遂げてみせたのだ。
「よくやったわ!」
「それもこれもマリア様に、多大なるご支援をしていただいたおかげです。感謝の気持ちを込めて、この青いバラには『ブルー・マリア』の名を贈らせてはもらえませんか?」
「実にいい心掛けね!」
私は満足顔でうなずいた。
こうして新種の青いバラ『ブルー・マリア』を手に入れた私は、すぐにそれを身につけてパーリーに出席した。
「具体的には?」
「交配するとすぐに元の色に戻ったり、そもそも花を付けなかったりするそうです」
「なるほどね。まだまだ研究途中なのね? でもそんな研究がされているなんて、今の今まで知らなかったんだけど」
アイリーンに「あんたはどうなの?」って視線を向けると、
「花といえば王立文化庁の管轄ですよね? でも私もそんな話は聞いたことはありません。アルベルトさん、そこのところも説明していただけますか?」
アイリーンは色々察して追加の質問までしてくれた。
さすが私の専属メイド、出来がいいわ。
さすが私。
「へぇ、これはあっしの古い友人が、個人で細々と研究しておりまして。この株も、彼が食費も削って研究費に費やす貧乏姿を見るに見かねて、前にいくらか金子を融通してやったんですが。そのお礼ということでもらったものでして」
「その貧乏研究家ってのを、今すぐ私に紹介しなさい! 今すぐよ! 今日の仕事はそれ以外しなくていいわ!」
「へ、へぇ。それはもちろん構いやせんが……」
「アイリーン、馬車を用意しなさい! ASAP(考えられうる最速で)!」
「かしこまりました!」
私はアルベルトの案内で、馬車を飛ばして貧乏研究家の住む小さな農園に会いに向かった。
そして顔を合わせるや否や言った。
「あんたの貧乏暮しは今日この時点で終わりよ。すぐに支度をして、今日からはセレシア侯爵家の専属庭師として、青いバラの開発に励みなさい。研究費はいくらいるの? 他に必要なものは? あなたが必要とするものは、私が全て用立ててあげるわ。全てね」
貧乏人らしく、たかだか500万ほどのはした金を、実に申し訳なさそうに用意してもらえないでしょうかと言われたので、私はその10倍の5000万の研究資金を用立ててやることにした。
さらに広大なセレシア侯爵家の庭園に、バラ開発専用の温室付きの研究ラボを用意してあげることも約束する。
「マリア様をお疑いするわけではありませんが、どうしてこれほどの莫大な援助をしていただけるのでしょうか?」
貧乏研究家が恐縮しきりといった様子で、恐るおそる尋ねてくる。
私はいつも通り端的に答えた。
「青いバラ(が持つ令嬢マウント力)に魅入られたから。ただそれだけよ」
「なんと!! 実は私も青いバラ(というロマン)に魅入られたのです! ありがとうございます、マリア様。私はこれより全ての時間を費やして、なんとしてでも青いバラを完成させてみせましょう!」
貧乏研究家は涙を流しながらこうべを垂れた。
「ただし条件が一つあるわ。青いバラが完成したら、その株の使用権は私だけに使わせなさい」
「私は青いバラを完成させることだけが、唯一の目的です。完成さえすれば、後はマリア様のお好きなようにしていただいて、何の問題もございません。それにマリア様なら、きっと素晴らしい使い方をしてくれることでしょうから」
や、やったー!
やったわ!!
これで青いバラは私だけのものよ!
さぁさぁ、さっさと青いバラを完成させて私に献上しなさいな!
こうして莫大な研究資金と豪華な開発ラボを手にした貧乏研究家は、研究を一気に加速させた。
その過程で様々な新種のバラを次々と開発しながら、見事に青いバラの開発を成し遂げてみせたのだ。
「よくやったわ!」
「それもこれもマリア様に、多大なるご支援をしていただいたおかげです。感謝の気持ちを込めて、この青いバラには『ブルー・マリア』の名を贈らせてはもらえませんか?」
「実にいい心掛けね!」
私は満足顔でうなずいた。
こうして新種の青いバラ『ブルー・マリア』を手に入れた私は、すぐにそれを身につけてパーリーに出席した。