すぐにしっかりと芯まで冷えたスイカが運ばれてきた。
もちろん食べやすいように一口大サイズにカットされていて、種も全て取ってある。
庶民はスイカの種を口から飛ばして遊んだりするそうだけど、私はそんなエンガチョなことをしはしない。
「じゃあ早速いただこうかしら」
一口サイズにカットされたスイカをフォークで一刺し、口に入れる。
すぐに口の中に冷たい甘みが広がっていった。
「ん~~、よく冷えていて美味しいわね! なんだか元気が湧いてくる感じ!」
「それはようございましたね」
「すごく甘いし、冷たいし。まるで冷たいジュースを食べているみたいだわ」
「スイカは95%が水分なんだそうですよ」
「なるほどねー。でもほんと、これならいくらでも食べれそうだわ」
「どうぞ心行くまでご堪能下さいませ」
笑顔で答えるアイリーンの顔を私はまじまじと見つめた。
額にうっすらと汗をかいているのが見て取れる。
異常な鋼メンタルを持つこいつは発汗までをもコントロールできるのか、汗をかいているのを私はほとんど見たことがない。
つまりさしものアイリーンも、この暑さには耐えられなかったわけね。
「……ま、あれね」
「はい?」
「せっかくだしあんたもスイカを食べなさい。特別に許可してあげるわ」
「と、とんでもございません! 私は見ているだけで十分ですので、どうぞマリア様が心行くまでお食べ下さいませ」
「こんな量を1人で食べれるわけないでしょ。いいから食べなさい」
「ですが――」
「あんた汗かいてるでしょ? あんたは腹を切ろうとしたりと時々ちょっと頭がおかしいところもあるけど、それでも人間なんだから暑いのは同じなわけでしょ?」
「それなりには暑くはありますが、ですが私はマリア様の専属メイドですのでこれくらいは――」
「それよ。もしあんたに熱中症で倒れられて、別の専属メイドを用意しないといけなくなったら手間なのよね。あんたは私にそんな無駄な手間をかけさせたいわけ?」
「と、とんでもございません!」
「ならとっとと食べなさいな」
私は予備のフォークをアイリーンに手渡した。
「で、ではお言葉に甘えて頂きます……あふぅ、冷たくて美味しいです!」
「でしょう? ほら、もっと食べなさい。今日は遠慮はいらないわよ」
「本当にジュースを食べているみたいです」
「好きなだけ食べていいわよ。その代わりに食べ終わったらまた馬車馬のごとく私に尽くしなさい」
「かしこまりました♪」
スイカを食べて少しは身体も冷えたのか。
今日のアイリーンはいつにも増して精力的に私に尽くしてくれたのだった。
あ、一応言っておくけどね?
この信じられない暑さの中、ひたすら大きなうちわで扇ぎ続けてくれたアイリーンがちょっと可哀そう、とかなんとか思ったわけじゃないんだからね?
気が利いて何でも言うことを聞くこの便利メイドの代わりを用意する手間を考えたら、少し労わってやった方が私にとって得だからってだけなんだからね?
ほんとなんだからね?
そこんとこ勘違いしないでよね?
もちろん食べやすいように一口大サイズにカットされていて、種も全て取ってある。
庶民はスイカの種を口から飛ばして遊んだりするそうだけど、私はそんなエンガチョなことをしはしない。
「じゃあ早速いただこうかしら」
一口サイズにカットされたスイカをフォークで一刺し、口に入れる。
すぐに口の中に冷たい甘みが広がっていった。
「ん~~、よく冷えていて美味しいわね! なんだか元気が湧いてくる感じ!」
「それはようございましたね」
「すごく甘いし、冷たいし。まるで冷たいジュースを食べているみたいだわ」
「スイカは95%が水分なんだそうですよ」
「なるほどねー。でもほんと、これならいくらでも食べれそうだわ」
「どうぞ心行くまでご堪能下さいませ」
笑顔で答えるアイリーンの顔を私はまじまじと見つめた。
額にうっすらと汗をかいているのが見て取れる。
異常な鋼メンタルを持つこいつは発汗までをもコントロールできるのか、汗をかいているのを私はほとんど見たことがない。
つまりさしものアイリーンも、この暑さには耐えられなかったわけね。
「……ま、あれね」
「はい?」
「せっかくだしあんたもスイカを食べなさい。特別に許可してあげるわ」
「と、とんでもございません! 私は見ているだけで十分ですので、どうぞマリア様が心行くまでお食べ下さいませ」
「こんな量を1人で食べれるわけないでしょ。いいから食べなさい」
「ですが――」
「あんた汗かいてるでしょ? あんたは腹を切ろうとしたりと時々ちょっと頭がおかしいところもあるけど、それでも人間なんだから暑いのは同じなわけでしょ?」
「それなりには暑くはありますが、ですが私はマリア様の専属メイドですのでこれくらいは――」
「それよ。もしあんたに熱中症で倒れられて、別の専属メイドを用意しないといけなくなったら手間なのよね。あんたは私にそんな無駄な手間をかけさせたいわけ?」
「と、とんでもございません!」
「ならとっとと食べなさいな」
私は予備のフォークをアイリーンに手渡した。
「で、ではお言葉に甘えて頂きます……あふぅ、冷たくて美味しいです!」
「でしょう? ほら、もっと食べなさい。今日は遠慮はいらないわよ」
「本当にジュースを食べているみたいです」
「好きなだけ食べていいわよ。その代わりに食べ終わったらまた馬車馬のごとく私に尽くしなさい」
「かしこまりました♪」
スイカを食べて少しは身体も冷えたのか。
今日のアイリーンはいつにも増して精力的に私に尽くしてくれたのだった。
あ、一応言っておくけどね?
この信じられない暑さの中、ひたすら大きなうちわで扇ぎ続けてくれたアイリーンがちょっと可哀そう、とかなんとか思ったわけじゃないんだからね?
気が利いて何でも言うことを聞くこの便利メイドの代わりを用意する手間を考えたら、少し労わってやった方が私にとって得だからってだけなんだからね?
ほんとなんだからね?
そこんとこ勘違いしないでよね?