「皆さん、今日は近々行われる学園の演劇祭で行うクラス劇の演者を決めたいと思います。まずは主役のジュリエッタ役を決めたいのですが、どなたか立候補はありますか?」
先生から学級会の進行を任された私は、柔らかな貴族令嬢らしい語り口でそう切り出した。
スーパーセレブな私は先生方からも一目置かれているので、こういったクラスの話し合いの司会進行を任されることも多いのだ。
するとすぐに、
「あの、私、やってみたいなって……」
小声で言いながら1人のクラスメイトが手を挙げた。
アルソワ=リプニツカヤ。
文学部に所属していて、オリジナルのお話なんかも書いている創作系の文学少女だ。
もともとはその辺にいっぱいいるその日暮らしの平民だったらしいんだけど。
最近母親がどこぞの侯爵に見初められて拾われてから、上流階級の暮らしをさせてもらっているらしい。
ちっ、それにしてもまさか根暗で奥手なリプニツカヤがヒロイン役に立候補するとは思わなかったわ。
「リプニツカヤさんは物語を作ったりするのがお上手ですものね」
「ということは普段は物静かですけど、きっと演技をするのもお上手なのでしょうね」
「いいんじゃありませんこと?」
くっ、これまた面倒な伏兵がいたものね。
私がヒロイン役に立候補する前に、リプニツカヤをヒロイン役に推すみたいなムーブメントができてしまったじゃない。
私は学校ではほんのちょこっとだけ猫を被っているから、この流れで強引にヒロイン役に立候補はしづらいなぁ……。
「そう言えばマリア様もヒロインをやってみたいと言っておられましたよね?」
しかしここで、私の大親友のミナトが援護射撃をしてくれた。
さすがミナト。
狙ったわけじゃないんだろうけどナイスアシストね!
それでこそ私の親友よ!
「そうですね。演劇祭は1年に1度の機会ですので、チャンスを頂けるのでしたらやってみたいなと思っています」
私はヒロイン役をやりたくてやりたくて堪らない気持ちを微塵も見せずに、とても殊勝な顔をしながら、しかし強い決意のこもった出馬宣言をした。
「では投票で決めることにしませんか? マリア様もリプニツカヤさんもそれでよろしくて?」
「私はもちろん構いませんわよ」
「わ、私もそれで構わないです……」
というわけでみんなの投票で決めることになった。
結果は私の圧倒的大勝利だった。
まぁ当然よね。
なにせこのクラスの8割は何があっても私を支持してくれる、いわゆる岩盤支持層なんだから。
しかも残りの2割も別に敵対しているわけじゃなくて、私を支持しているという意味では変わらない。
つまり私はクラス内の投票では絶対に負けないってこと。
投票に同意した時点でリプニツカヤ、あんたには敗北しかなかったってわけ!
だいたいあんた、人前でしゃべるのが下手くそでパーリーにもほとんど出てこないじゃない。
人とのコミュニケーションが苦手ないわゆる陰キャちゃんなわけでしょ?
なのになんでいきなり演劇祭のクラス劇のヒロイン役なんかに立候補とかしてるのよ。
こういう一番目立つ役は、スーパーセレブの私のためにあるに決まってるでしょ。
ちょっとは空気読みなさいよね。
「マリア様なら適任ですわよね」
「人前で話されるのもお得意ですもの」
「良く通る声をされていますし」
「皆さんの期待に応えられるよう頑張りたいと思いますわ。それでは他の役も決めていきましょう」
というわけで、私は無事に演劇祭のクラス劇のヒロイン役を射止めたのだった。
ちなみにリプニツカヤはその後は静かなもので、最後まで何かの役に立候補するでもなく、最終的に制作指揮として裏方のまとめ役をやることになった。
なんだったんだろうね、さっきの?
まぁ別に興味はないんだけど。
ヒロイン役は無事にゲットできたしね。
先生から学級会の進行を任された私は、柔らかな貴族令嬢らしい語り口でそう切り出した。
スーパーセレブな私は先生方からも一目置かれているので、こういったクラスの話し合いの司会進行を任されることも多いのだ。
するとすぐに、
「あの、私、やってみたいなって……」
小声で言いながら1人のクラスメイトが手を挙げた。
アルソワ=リプニツカヤ。
文学部に所属していて、オリジナルのお話なんかも書いている創作系の文学少女だ。
もともとはその辺にいっぱいいるその日暮らしの平民だったらしいんだけど。
最近母親がどこぞの侯爵に見初められて拾われてから、上流階級の暮らしをさせてもらっているらしい。
ちっ、それにしてもまさか根暗で奥手なリプニツカヤがヒロイン役に立候補するとは思わなかったわ。
「リプニツカヤさんは物語を作ったりするのがお上手ですものね」
「ということは普段は物静かですけど、きっと演技をするのもお上手なのでしょうね」
「いいんじゃありませんこと?」
くっ、これまた面倒な伏兵がいたものね。
私がヒロイン役に立候補する前に、リプニツカヤをヒロイン役に推すみたいなムーブメントができてしまったじゃない。
私は学校ではほんのちょこっとだけ猫を被っているから、この流れで強引にヒロイン役に立候補はしづらいなぁ……。
「そう言えばマリア様もヒロインをやってみたいと言っておられましたよね?」
しかしここで、私の大親友のミナトが援護射撃をしてくれた。
さすがミナト。
狙ったわけじゃないんだろうけどナイスアシストね!
それでこそ私の親友よ!
「そうですね。演劇祭は1年に1度の機会ですので、チャンスを頂けるのでしたらやってみたいなと思っています」
私はヒロイン役をやりたくてやりたくて堪らない気持ちを微塵も見せずに、とても殊勝な顔をしながら、しかし強い決意のこもった出馬宣言をした。
「では投票で決めることにしませんか? マリア様もリプニツカヤさんもそれでよろしくて?」
「私はもちろん構いませんわよ」
「わ、私もそれで構わないです……」
というわけでみんなの投票で決めることになった。
結果は私の圧倒的大勝利だった。
まぁ当然よね。
なにせこのクラスの8割は何があっても私を支持してくれる、いわゆる岩盤支持層なんだから。
しかも残りの2割も別に敵対しているわけじゃなくて、私を支持しているという意味では変わらない。
つまり私はクラス内の投票では絶対に負けないってこと。
投票に同意した時点でリプニツカヤ、あんたには敗北しかなかったってわけ!
だいたいあんた、人前でしゃべるのが下手くそでパーリーにもほとんど出てこないじゃない。
人とのコミュニケーションが苦手ないわゆる陰キャちゃんなわけでしょ?
なのになんでいきなり演劇祭のクラス劇のヒロイン役なんかに立候補とかしてるのよ。
こういう一番目立つ役は、スーパーセレブの私のためにあるに決まってるでしょ。
ちょっとは空気読みなさいよね。
「マリア様なら適任ですわよね」
「人前で話されるのもお得意ですもの」
「良く通る声をされていますし」
「皆さんの期待に応えられるよう頑張りたいと思いますわ。それでは他の役も決めていきましょう」
というわけで、私は無事に演劇祭のクラス劇のヒロイン役を射止めたのだった。
ちなみにリプニツカヤはその後は静かなもので、最後まで何かの役に立候補するでもなく、最終的に制作指揮として裏方のまとめ役をやることになった。
なんだったんだろうね、さっきの?
まぁ別に興味はないんだけど。
ヒロイン役は無事にゲットできたしね。