「店主、あなたを私の専属ドレスデザイナーとして採用したいのだけど?」
「ワタシをデスか? 見ての通り、この店はほとんど誰にも見向きもされていないのデスよ」
いかにも外国人らしい片言の言葉で店主は答えたんだけど、私は心が広いので特に気にはしない。
「そうみたいね。世間は着物とあなたを評価していないわ。だけど私はこれにとても価値を見出しているの。世間の評価なんてどうでもいい、私があなたを評価している。それが採用の理由よ」
まぁ嘘なんだけどね。
あなたの技術は単に知られていないだけよ。
外国人居留地なんて普通は誰も好き好んで来ないからね。
でも知れば皆が皆、着物とあなたの技術を欲しがるわ。
絶対にね。
それこそお金では買えない価値がこれにはあるもの。
「あ、ありがとうございマス。でも本当に雇っていただけるのデスか?」
「お金のことなら心配しないでいいわよ。見ての通り、私はスーパーセレブだから。私の名前はマリア=セレシア。名門貴族セレシア侯爵家の娘よ――って言っても外国人のあなたには分からないかしら?」
「いいえ、よく存じておりマス。セレシア食堂という名前で、毎週2回無料で炊き出しをしてくれているからデス。ワタシたち、とても助かっていマス」
「へぇ、お父さまってそんなこともしてるのね。さすがお父さま、哀れな貧民にもお優しいわ」
「だからここに住むワタシたちは皆、セレシア様に感謝しておりますデス」
「ま、知っているんなら話は早いわ。じゃあ支度金としてまず100万を今この場でお渡しするわ。アイリーン、すぐに持ってきなさい」
「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」
アイリーンが馬車に現ナマを取りに行く。
こんなこともあろうかと、私の馬車にはキャッシュで100万が常に用意してあるのだ。
「その後は月に100万で雇ってあげる。なんならあなた専用の工房だって作ってあげてもいいわよ? 悪い話じゃないでしょう?」
「それは本当デスか!? そんなにヨクしてもらえるなんて信じられまセン!」
「ただし! 一つだけ条件があるの」
「条件、デスか?」
「安心しなさい、別に難しいことじゃないから。私以外の誰にも着物は作らないで。それが唯一にして絶対の条件よ」
「ワかりました。是非ともマリア様のところデ、働かせてくださいデス。あなたのために、ワタシ真面目に一生懸命働きマス」
店主は私に向かって深々と頭を下げた。
「じゃあ契約成立ね。これからは私のためだけに美しい着物ドレスを仕立てなさいな」
「かしこまりまシタ」
や、や、や……やったぁっ!!
他の誰も作れない着物を作れるこの職人の技術を独占するなら、本来は月に100万程度のはした金じゃきかないわ。
だってこの技術にはお金で買えない価値があるんだもの!
でもね。
私は第一発見者だから出来ちゃうのよね!
さすが私、生まれながらのスーパーセレブ、勝ち組の中の勝ち組。
どこまでも神様に愛されちゃっているわ!
早速、パーティ用の極上の着物ドレスを仕立ててもらうんだから
こうして。
私は着物と、着物を作るヤパルナから来た職人を独り占めすることに、見事に成功したのだった。
「ワタシをデスか? 見ての通り、この店はほとんど誰にも見向きもされていないのデスよ」
いかにも外国人らしい片言の言葉で店主は答えたんだけど、私は心が広いので特に気にはしない。
「そうみたいね。世間は着物とあなたを評価していないわ。だけど私はこれにとても価値を見出しているの。世間の評価なんてどうでもいい、私があなたを評価している。それが採用の理由よ」
まぁ嘘なんだけどね。
あなたの技術は単に知られていないだけよ。
外国人居留地なんて普通は誰も好き好んで来ないからね。
でも知れば皆が皆、着物とあなたの技術を欲しがるわ。
絶対にね。
それこそお金では買えない価値がこれにはあるもの。
「あ、ありがとうございマス。でも本当に雇っていただけるのデスか?」
「お金のことなら心配しないでいいわよ。見ての通り、私はスーパーセレブだから。私の名前はマリア=セレシア。名門貴族セレシア侯爵家の娘よ――って言っても外国人のあなたには分からないかしら?」
「いいえ、よく存じておりマス。セレシア食堂という名前で、毎週2回無料で炊き出しをしてくれているからデス。ワタシたち、とても助かっていマス」
「へぇ、お父さまってそんなこともしてるのね。さすがお父さま、哀れな貧民にもお優しいわ」
「だからここに住むワタシたちは皆、セレシア様に感謝しておりますデス」
「ま、知っているんなら話は早いわ。じゃあ支度金としてまず100万を今この場でお渡しするわ。アイリーン、すぐに持ってきなさい」
「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」
アイリーンが馬車に現ナマを取りに行く。
こんなこともあろうかと、私の馬車にはキャッシュで100万が常に用意してあるのだ。
「その後は月に100万で雇ってあげる。なんならあなた専用の工房だって作ってあげてもいいわよ? 悪い話じゃないでしょう?」
「それは本当デスか!? そんなにヨクしてもらえるなんて信じられまセン!」
「ただし! 一つだけ条件があるの」
「条件、デスか?」
「安心しなさい、別に難しいことじゃないから。私以外の誰にも着物は作らないで。それが唯一にして絶対の条件よ」
「ワかりました。是非ともマリア様のところデ、働かせてくださいデス。あなたのために、ワタシ真面目に一生懸命働きマス」
店主は私に向かって深々と頭を下げた。
「じゃあ契約成立ね。これからは私のためだけに美しい着物ドレスを仕立てなさいな」
「かしこまりまシタ」
や、や、や……やったぁっ!!
他の誰も作れない着物を作れるこの職人の技術を独占するなら、本来は月に100万程度のはした金じゃきかないわ。
だってこの技術にはお金で買えない価値があるんだもの!
でもね。
私は第一発見者だから出来ちゃうのよね!
さすが私、生まれながらのスーパーセレブ、勝ち組の中の勝ち組。
どこまでも神様に愛されちゃっているわ!
早速、パーティ用の極上の着物ドレスを仕立ててもらうんだから
こうして。
私は着物と、着物を作るヤパルナから来た職人を独り占めすることに、見事に成功したのだった。