高校最寄り駅の踏み切りを渡り、商店街を進むと、ヨーロッパを思わせる外観のカフェが現れる。ここが今週オープンする情報は、いつか胡都と訪れようと思い、事前に調べていた。

「わあ、美味しそうなのがいっぱい」

 メニューを開くと、バラエティ豊かなスイーツが視界に飛び込む。どれにしよう、と唸る彼女が、少しでも幸せを感じてくれていますように。

「いちごづくしのパフェにしようかな」

 メニューとの長時間睨めっこ対決にようやく終止符を打った胡都は、続けて「山内くんは?」と聞いてくる。

「パステルピンクハニーベリー」
「え、デザート食べるの?サンドウィッチとかもあるよ?」
「ううん。甘いの食べたい気分」

 胡都といる時にしかほとんど食べないその味は、彼女が好きだから好きになれる。