天気の良いこんな日は、屋上で寝そべるのも気分転換になりいいかもしれない。
そんなことを考えながら階段を登っていると、途中で見覚えのある背中が目に入る。
「あ、武藤くん」
昼休みはいつも読書ばかりしている、クラス一番おとなしいやつ。彼は俺の前の席だから、黒板を見れば自ずと視界に入るその後ろ姿。
俺の呼びかけに振り向いた彼は、「しー!」と人差し指を立ててきた。
「え、なになに」
「し、静かにしてくださいっ」
「なんだよ、なに見てんの」
「あ、ちょっとっ」
彼の背中越しに階段の踊り場を見れば、そこでは美智が、誰かと電話で話していた。
「今日の約束、悪いけどキャンセル〜。ちょっと急用入っちゃって。あ、てか今度フレンチでも連れてってよ」
断りを入れているくせに、どこか偉そうな態度の彼女。「なんだあれ」と武藤くんに聞けば、「この前もなんです……」と悄気ていた。
「みっちゃんさん、ついこの間は下の階の方で、怪しげな電話してました」
「みっちゃんさんって……」
『みっさん』か『みっちゃん』でよくないか、と束の間頭へ過ぎったが、それよりも気になったのはこれ。
「美智のこと、コソコソつけてまわってんの?」
そんなことを考えながら階段を登っていると、途中で見覚えのある背中が目に入る。
「あ、武藤くん」
昼休みはいつも読書ばかりしている、クラス一番おとなしいやつ。彼は俺の前の席だから、黒板を見れば自ずと視界に入るその後ろ姿。
俺の呼びかけに振り向いた彼は、「しー!」と人差し指を立ててきた。
「え、なになに」
「し、静かにしてくださいっ」
「なんだよ、なに見てんの」
「あ、ちょっとっ」
彼の背中越しに階段の踊り場を見れば、そこでは美智が、誰かと電話で話していた。
「今日の約束、悪いけどキャンセル〜。ちょっと急用入っちゃって。あ、てか今度フレンチでも連れてってよ」
断りを入れているくせに、どこか偉そうな態度の彼女。「なんだあれ」と武藤くんに聞けば、「この前もなんです……」と悄気ていた。
「みっちゃんさん、ついこの間は下の階の方で、怪しげな電話してました」
「みっちゃんさんって……」
『みっさん』か『みっちゃん』でよくないか、と束の間頭へ過ぎったが、それよりも気になったのはこれ。
「美智のこと、コソコソつけてまわってんの?」