なんだよ胡都。お前、俺のこと全然好きじゃねえじゃん。
 だったら最初っからフってほしかったよ。
 こっちばっか胡都のこと想ってて、ばかみてえ。

 数人いる、過去の恋人に言われたそんなこと。気付けば曖昧な態度をとっているのか、笑ってその場を過ごしたりしているのか、そんなわたしにも好意があると思われ告白され、受け入れてきた。けれど別れ際、彼等は皆わたしに呆れていた。

 好きでもねえやつの告白、受けてんじゃねーよ。

 告白してくれた時とは打って変わって冷酷な目で見られて、萎縮した。だけど悪いのは彼等ではなくてわたしなのだとわかっているから、ただひたすらに自分を責めた。

 わたしの話を聞きながらも、着々とハンバーガーを小ぶりにしていくみっちゃんは、まだ咀嚼中のそれを片頬に寄せて嘆く。

「いいなあ、どうして胡都ばっかそんなモテるのよ。わたしなんかさ、生まれてこの方恋人ゼロよ」

 ちゅうっとストローを吸う彼女の唇は、ラメ入りの桃色グロスで潤っている。至るところでしょっちゅう塗り直すそれの外面には、学生では到底手の届かないブランドのロゴが入っていた記憶がある。