次の日も、胡都の席は空っぽだった。スマートフォンの中、彼女のアイコンをタップしては、「どうしたの?」や「大丈夫?」を打つけれど、送信ボタンだけが押せずに昼を迎える。

「てかなんで別れたの、伊吹と」

 昼飯中、根本の投げた質問で、男ばかりの顔が四つほど俺に向けられた。

「べつに」
「お前めっちゃ好きだったじゃん、伊吹のこと」
「べつに」
「あ、わかった。ナントカ先輩に脅されて、仕方なくフったんだろ」
「そうじゃねえよ」
「じゃあなんでだよ」
「べつに」

 こんなにも素っ気ない返答しかしていないのに、くどくどと同じことを聞かれて嫌になる。もう食べ終わったし、ここにいても不愉快になるだけだしと、俺は席を立った。

「ちょっと食後の昼寝でもしてくるわ」