胡都に別れを告げた翌日は、グレーの空模様。

「雨、降んのかな……」

 胡都が綺麗だと言ったショッピングモールのイチョウの木は、陽の光の作用もあって、まるで画家が描いたような水彩画のように見事だった。

「写真の一枚くらい、やっぱ一緒に撮っときゃよかった」

 今更遅い欲望を空に吐き、通学路を行く。

 胡都、胡都、胡都。

 一歩進むごとに想う、彼女のこと。
 まだこんなにも好きなのに自ら手放して、後悔だか未練だかわからぬ感情が、心をぐちゃぐちゃに()ねくり回す。

「会いたくねえなあ……」

 クラスに着けば、いる彼女。君を一瞬でも目にしたら、俺は泣いてしまうかもしれないな。