悄然と帰宅すると、家族不在の家で留守番をしていたココが、珍しく玄関へ走って来なかった。
「ココ……?」
居間へ進むと、ソファーでくたっと寝そべる彼女を発見する。
「ココ、どうしたの?具合でも悪いの?」
片目だけを開けた彼女はわたしを認識すると、口元にあったわたしの手をぺろりと舐めた。そしてまた、閉じられる瞼。
「ココ……」
平均寿命をとうに超えた、おばあちゃん犬。彼女の元気のない姿は、その時が来てしまう予兆なのではないかと怖くなる。
ココを膝に置き、何度も愛でる。わたしも彼女と同じく視界を閉ざせば、瞼の裏に浮かんできたのは山内くんの笑顔。
俺、胡都のこと好きなんだ。
絶対に大切にするから。
人気のない昇降口の階段下。彼がくれた、一途な言葉たち。
「山内くん……」
そのまま寝入ってしまったわたしは、夕方帰宅した母に肩を叩かれ起こされた。
「ココ……?」
居間へ進むと、ソファーでくたっと寝そべる彼女を発見する。
「ココ、どうしたの?具合でも悪いの?」
片目だけを開けた彼女はわたしを認識すると、口元にあったわたしの手をぺろりと舐めた。そしてまた、閉じられる瞼。
「ココ……」
平均寿命をとうに超えた、おばあちゃん犬。彼女の元気のない姿は、その時が来てしまう予兆なのではないかと怖くなる。
ココを膝に置き、何度も愛でる。わたしも彼女と同じく視界を閉ざせば、瞼の裏に浮かんできたのは山内くんの笑顔。
俺、胡都のこと好きなんだ。
絶対に大切にするから。
人気のない昇降口の階段下。彼がくれた、一途な言葉たち。
「山内くん……」
そのまま寝入ってしまったわたしは、夕方帰宅した母に肩を叩かれ起こされた。