画面を暗くさせたスマートフォンを、そっと上着のポケットにしまう山内くん。そのまま取り出されない手を真似るように、もう片方の手も反対側のポケットの中へ引っ込んでいく。
「え……どうし、て……?」
テーブルの上には皿もグラスもなく、今はまだ、席を確保したばかり。これから「なにを食べようか」とか、「これ美味しそうだね」だなんて会話をしながら、楽しいランチタイムを過ごすはずだったのに。
「ど、どうして別れるの……?」
急に告げられた別れに、頭が真っ白になる。呼吸が上手くできない。
力のない弱々しい双眸で、わたしを見つめる山内くん。哀愁を帯びたその瞳に、飲み込みにくい唾を飲んだ。
「胡都はノーって言えないから、だから俺の告白を受け入れてくれたんだよね……」
心の底から、傷付いた声だった。
「秋宮ってやつの死で、胡都は罪の意識に苛まれて。それから断ることができなくなって。だから好きでもない俺なんかの告白に、オーケーしてくれたんでしょ……?」
違うって、すぐに訂正したかった。そうだけど今は違うって。けれどそんな自分勝手な言い訳を並べる前に、山内くんが頭を下げてくるものだから、言葉を失ったんだ。
「ごめん、胡都。今まで無理に俺の恋人やらせちゃってて、本当にごめん……」
「え……どうし、て……?」
テーブルの上には皿もグラスもなく、今はまだ、席を確保したばかり。これから「なにを食べようか」とか、「これ美味しそうだね」だなんて会話をしながら、楽しいランチタイムを過ごすはずだったのに。
「ど、どうして別れるの……?」
急に告げられた別れに、頭が真っ白になる。呼吸が上手くできない。
力のない弱々しい双眸で、わたしを見つめる山内くん。哀愁を帯びたその瞳に、飲み込みにくい唾を飲んだ。
「胡都はノーって言えないから、だから俺の告白を受け入れてくれたんだよね……」
心の底から、傷付いた声だった。
「秋宮ってやつの死で、胡都は罪の意識に苛まれて。それから断ることができなくなって。だから好きでもない俺なんかの告白に、オーケーしてくれたんでしょ……?」
違うって、すぐに訂正したかった。そうだけど今は違うって。けれどそんな自分勝手な言い訳を並べる前に、山内くんが頭を下げてくるものだから、言葉を失ったんだ。
「ごめん、胡都。今まで無理に俺の恋人やらせちゃってて、本当にごめん……」