大事な友達が盗聴の被害に遭っているのならば、見過ごすわけにはいかない。だから率直にそう聞いたけれど、「はい」と大きく首を縦に振られて、拍子抜けした。
「さっきから会話の内容が変なんですっ。奢ってくれるならいいよとか、それなら五万ちょうだいよとかっ。友達や親に話す感じじゃないっていうか」
黒縁メガネの奥、武藤くんの小さな目が不安げで、わたしも彼と似た気持ちになっていく。
高校へ入学してからの、みっちゃんの金回りのよさ。ずっと気にはなっているけれど、理由は未だにわかっていない。
彼とのコソコソ話は続く。
「じゃあ、誰と電話してるの?」
「わからないですっ」
「親戚のおじさんとか?」
「うーん、そんな風にも聞こえなくって。どっちかって言うと、知らないおじさんを相手にしているような──」
武藤くんの言葉がそこで途切れたのは、いつの間にやら通話をやめていたみっちゃんが、「なにしてんの」と踊り場から下りてきたから。
「さっきから会話の内容が変なんですっ。奢ってくれるならいいよとか、それなら五万ちょうだいよとかっ。友達や親に話す感じじゃないっていうか」
黒縁メガネの奥、武藤くんの小さな目が不安げで、わたしも彼と似た気持ちになっていく。
高校へ入学してからの、みっちゃんの金回りのよさ。ずっと気にはなっているけれど、理由は未だにわかっていない。
彼とのコソコソ話は続く。
「じゃあ、誰と電話してるの?」
「わからないですっ」
「親戚のおじさんとか?」
「うーん、そんな風にも聞こえなくって。どっちかって言うと、知らないおじさんを相手にしているような──」
武藤くんの言葉がそこで途切れたのは、いつの間にやら通話をやめていたみっちゃんが、「なにしてんの」と踊り場から下りてきたから。