山内の頭の傷はだいぶよくなったよ、の西条先輩を信じて、わたしは保健室をあとにする。始業まではもう五分をきったが、そういえば次の授業の体育は何の科目に変更されたのだろうと考えながら階段を登っていれば、突然誰かの背中にぶつかった。
「きゃっ」
「しーっ!」
背後の衝撃に勢いよく振り向いた彼は、自身の口元で人差し指を立て、「静かにして」のポージング。その迫力に圧倒され従えば、彼は静かに頷いた。
「な、なに武藤くん、どうしたのっ」
ところがすぐに小声で話しかけてしまったのは、その彼が顔馴染みのクラスメイトだったから。おとなしい彼の休み時間は、いつも自席で本を読んでいる記憶があったけれど、今日は階段にいるし、そしてなんだか存在感がすごい。
「みっちゃんさんが、誰かと電話してるんですっ」
わたしと同じく小さな声で、回答をくれた武藤くんの背中から覗くその先。そこには確かに、スマートフォンを片手に踊り場で通話する、みっちゃんの姿があった。
「みっちゃんさんって……」
『みっさん』か『みっちゃん』でよくないかな、と束の間頭へ過ぎったが、それよりも気になったのはこれ。
「盗み聞きしてるの?」
「きゃっ」
「しーっ!」
背後の衝撃に勢いよく振り向いた彼は、自身の口元で人差し指を立て、「静かにして」のポージング。その迫力に圧倒され従えば、彼は静かに頷いた。
「な、なに武藤くん、どうしたのっ」
ところがすぐに小声で話しかけてしまったのは、その彼が顔馴染みのクラスメイトだったから。おとなしい彼の休み時間は、いつも自席で本を読んでいる記憶があったけれど、今日は階段にいるし、そしてなんだか存在感がすごい。
「みっちゃんさんが、誰かと電話してるんですっ」
わたしと同じく小さな声で、回答をくれた武藤くんの背中から覗くその先。そこには確かに、スマートフォンを片手に踊り場で通話する、みっちゃんの姿があった。
「みっちゃんさんって……」
『みっさん』か『みっちゃん』でよくないかな、と束の間頭へ過ぎったが、それよりも気になったのはこれ。
「盗み聞きしてるの?」