しぶとい秋宮くんは電車を待っているホームでも、わたしの隣をキープした。

「胡都、好き」
「わたしは好きじゃない」
「俺と付き合って」
「付き合わない」

　遠く、女子たちとの会話に花を咲かせるみっちゃんの楽しそうな姿に、早くあそこへ加わりたいと思った。

「秋宮くん。せめてもう少し、真ん中の方に行かない？」
「なんで」
「わたしたちだけこんなにホームの端っこじゃ、なんだかみんなと別のグループみたい」
「だって胡都、みんなの前では告るなっていつも言うじゃん」
「そ、そうだけど」
「だからここにいようぜ」

　だからここにいよう、ではなくて。だからもう諦めようよ。

　やめてほしいのにやめてくれない、みっちゃんたちと話したいのに話せない。溜まっていくフラストレーションが、言葉として排出される。

「いい加減にしてよ……」

　今日以外にも、秋宮くんがしつこい日はたまにあった。

「今日で二年二組、終わっちゃうんだよ？なんでみんなと喋らせてくれないの？最後の最後で、秋宮くんのこと嫌いにさせないでほしいっ」

　けれどそんな彼に、わたしがここまで拒否感を露わにするのは初めてだ。