「山内くん!」
ベンチから慌ててお尻を上げれば、手にしていたモンブランを落としてしまった。
「あっ」
それをすかさず啄む鳩たち。彼等に一時目を落とし、その目を戻した時にはもう、線路上を歩く剣崎先輩の元へと到達する山内くんの姿が見えてしまった。
「ッテエ!」
ふたつの身体が重なって、ドサンと地へ崩れていく。
「なにすんだよテメエ!」
「うるせえ!胡都になにした!」
怒りを露わにするふたり。今すぐ割って入りたいけれど、そんな度胸のないわたしは、野次馬に紛れてハラハラするだけ。
「やめて、やめて山内くんっ……」
剣崎先輩に馬乗りになり、彼の胸ぐらを掴んで叫ぶ山内くんが、今にもその拳を思いきり放ってしまいそうで怖い。そんなことを公衆の面前でしてしまえば、停学になってしまうかもしれないし、はたまた退学の可能性だってある。そして何よりも危惧されるのは、わたしたちとは常識の範疇が違う剣崎先輩にされる仕返しだ。
山内くんには関係ないのに。これはわたしの問題なのに。
ベンチから慌ててお尻を上げれば、手にしていたモンブランを落としてしまった。
「あっ」
それをすかさず啄む鳩たち。彼等に一時目を落とし、その目を戻した時にはもう、線路上を歩く剣崎先輩の元へと到達する山内くんの姿が見えてしまった。
「ッテエ!」
ふたつの身体が重なって、ドサンと地へ崩れていく。
「なにすんだよテメエ!」
「うるせえ!胡都になにした!」
怒りを露わにするふたり。今すぐ割って入りたいけれど、そんな度胸のないわたしは、野次馬に紛れてハラハラするだけ。
「やめて、やめて山内くんっ……」
剣崎先輩に馬乗りになり、彼の胸ぐらを掴んで叫ぶ山内くんが、今にもその拳を思いきり放ってしまいそうで怖い。そんなことを公衆の面前でしてしまえば、停学になってしまうかもしれないし、はたまた退学の可能性だってある。そして何よりも危惧されるのは、わたしたちとは常識の範疇が違う剣崎先輩にされる仕返しだ。
山内くんには関係ないのに。これはわたしの問題なのに。