「胡都、お願いだから教えてっ」
モンブランのカップを自身の傍に置いた山内くんが、わたしの肩を揺すってくる。彼には決して言わまいと決めていたのに、ぽつりぽつりと抜けていくのは、選別し、ゴミ箱に放ったはずの真。
「う、裏メニューだって言って剣崎先輩に勧められた飲み物を飲んでから、記憶がないの……」
その瞬間、わたしの肩がぴたりと止まった。
「え……?」
白目を広げた山内くんの顔が見られずに、わたしは彼の襟足に視線を逃す。
「き、気付いたら先輩の部屋にいたのっ。ソファーの上で寝ちゃってたみたいっ。記憶のない間はずっとそこでそうしていたのかもしれないし、もしかしたら違うかもしれないっ。なにをされたのか、なにもされていないのか、全然知らないのっ」
気をつけてね。
みっちゃんがくれた言葉に「うん」とはっきり返したのに、わたしは一体何をしているのだろう。用心も防衛もせぬまま丸腰で、出された得体の知れぬドリンクを体内に入れたりして。このままでは、またいつか怖い目にあってしまう。
モンブランのカップを自身の傍に置いた山内くんが、わたしの肩を揺すってくる。彼には決して言わまいと決めていたのに、ぽつりぽつりと抜けていくのは、選別し、ゴミ箱に放ったはずの真。
「う、裏メニューだって言って剣崎先輩に勧められた飲み物を飲んでから、記憶がないの……」
その瞬間、わたしの肩がぴたりと止まった。
「え……?」
白目を広げた山内くんの顔が見られずに、わたしは彼の襟足に視線を逃す。
「き、気付いたら先輩の部屋にいたのっ。ソファーの上で寝ちゃってたみたいっ。記憶のない間はずっとそこでそうしていたのかもしれないし、もしかしたら違うかもしれないっ。なにをされたのか、なにもされていないのか、全然知らないのっ」
気をつけてね。
みっちゃんがくれた言葉に「うん」とはっきり返したのに、わたしは一体何をしているのだろう。用心も防衛もせぬまま丸腰で、出された得体の知れぬドリンクを体内に入れたりして。このままでは、またいつか怖い目にあってしまう。