「いーぶっきちゃんっ。帰ろーっ」
くるなくるなと願っていたその日の放課後が時間通りにやってくるのと同じタイミングで、剣崎先輩も一年一組までやって来た。見た目も性格も全く正反対な彼に呼ばれたわたしは、クラスメイトから好奇の目を向けられる。
「え、なになに。伊吹さんとあの先輩って付き合ってんの」
「それはないでしょ。伊吹さんは山内稜の彼女なんだから」
「ああそっか。じゃあただ単に、知り合いってこと?」
「なんか不思議な組み合わせだね。ライオンと小鹿じゃん」
そんな冷やかし混じりの囁きはどうでもいいが、まさかクラスまでわたしを迎えに来るとは思っていなかった剣崎先輩の登場に、山内くんの反応が気になってしまう。わたしは窓際一番後方の席だから、扉付近にいる剣崎先輩を目に映せば、自ずとクラス全体が視界に入る。
廊下側、驚いている様子の萌ちゃんとゆっぴー。斜め前、剣崎先輩に白けた目を向けるのはみっちゃん。そして教室中央では、根本くんに「帰ろうぜ」と言われ鞄を肩にかけた山内くんが、その鞄を落としていた。
「は……?」
くるなくるなと願っていたその日の放課後が時間通りにやってくるのと同じタイミングで、剣崎先輩も一年一組までやって来た。見た目も性格も全く正反対な彼に呼ばれたわたしは、クラスメイトから好奇の目を向けられる。
「え、なになに。伊吹さんとあの先輩って付き合ってんの」
「それはないでしょ。伊吹さんは山内稜の彼女なんだから」
「ああそっか。じゃあただ単に、知り合いってこと?」
「なんか不思議な組み合わせだね。ライオンと小鹿じゃん」
そんな冷やかし混じりの囁きはどうでもいいが、まさかクラスまでわたしを迎えに来るとは思っていなかった剣崎先輩の登場に、山内くんの反応が気になってしまう。わたしは窓際一番後方の席だから、扉付近にいる剣崎先輩を目に映せば、自ずとクラス全体が視界に入る。
廊下側、驚いている様子の萌ちゃんとゆっぴー。斜め前、剣崎先輩に白けた目を向けるのはみっちゃん。そして教室中央では、根本くんに「帰ろうぜ」と言われ鞄を肩にかけた山内くんが、その鞄を落としていた。
「は……?」