「はあ?なわけないじゃんっ。入学した時から胡都、あのグループ怖いって避けてたし」

 そう言ったみっちゃんに続いて、山内くんも不審がってくる。

「あいつにそうやって言えって言われたの?なにか口止めでもされてるの?本当のこと、俺にも美智にも話せないの?」

 ただでさえぐるぐると混乱する頭に自分でもついていけない状態なのに、クエスチョンばかりを投げられて、滅入ってしまう。

 山内くんには内緒にしなきゃ、絶対に。

 そう強く思えば、自ずと動き出す身体。

「みっちゃん、帰ろっ」
「はあ!?」
「早くっ」

 山内はいいの!?と怒鳴ってくるみっちゃんの腕を全力で引っ張って、廊下へずんずん進んでいった。

「おい、胡都!」

 その声には、振り返らない。今のわたしが山内くんと話し合ったところで、彼の心に渦を巻くだけ。

 ごめんね、山内くん。

 そう思うけれど、これが不器用なわたしが張れる精一杯の予防線なんだ。

 ごめんね、山内くん。