「おはよ、胡都っ」
「おはよう、みっちゃん。今日は早いね」

 下駄箱で上履きに履き替えていると、同じクラスのみっちゃんに肩を叩かれた。

「胡都は夏休みどっか行ったー?」
「おばあちゃんちくらいかな。みっちゃんは?」
「わたしもどこも行ってないよー。あ、でも遊園地には行った」
「わあ、いいなあ。家族で?」
「内緒」
「え。なんで」
「あははははっ。なんとなくー」

 こんがりと焼けた肌に、シルバー色したブレスレットが煌めく。みっちゃんの耳にはピアスの穴も空いているし、髪の毛も金髪に近い明るさだ。
 どちらかと言えば控え目なわたしとは世界の違う人だと、もしも高校生で初めて彼女と出逢っていたらそう感じていたかもしれないけれど、みっちゃんとは保育園からの幼馴染みだ。最近見た目が少し派手になったからといって、わたしが緊張したり、一線を引くことはない。