「ワン!」
上擦った山内くんの声で、吠えられた。そしてその鳴き声と同時に画面いっぱい映るのは、白い色したチワワだった。
「ココ……?」
思わず溢したココの名前。よく似てる、本当にココみたい。もう逢えないだろうと思っていたココが、そこにいる。
「そうだワン!ココだワン!メリークリスマス!だワン!」
山内くん的にはソプラノを意識しているのだろうけれど、彼は声変わりも終えた高校一年生。だからそれには無理があって、掠れ気味のハスキーボイスが、なんだか笑いを誘ってくる。
「ふふふ。ココ、今玄関開けるね」
「待ってるワン!」
ピッと画面を落としたわたしは、わくわくしながら玄関へと急いで駆けた。歩いたって数秒もあれば扉へ辿り着くのに、その数秒が、もどかしかったんだ。
「いらっしゃ──」
「ワワワワーン!!!」
玄関扉を開けるやいなや、わたしへ飛びついてきたチワワのぬいぐるみ。「可愛い可愛い」とそれを愛でていると、ぬいぐるみの後ろから照れくさそうな山内くんが顔を出した。
「メリクリ、胡都!お邪魔します!」
ココの声真似のままされた挨拶に、わたしはもう、大爆笑。彼もこれはうっかりだったらしく、急いで声色を戻していた。
「やっば、間違った!超恥ずかし!」
「あはははっ。もう一回やって、スマホに残したいっ」
「や、やらないし!胡都の意地悪!」
「あはははっ」
ぬいぐるみを抱えていつまでも笑うわたしを見て、山内くんはとても幸せそうだった。
上擦った山内くんの声で、吠えられた。そしてその鳴き声と同時に画面いっぱい映るのは、白い色したチワワだった。
「ココ……?」
思わず溢したココの名前。よく似てる、本当にココみたい。もう逢えないだろうと思っていたココが、そこにいる。
「そうだワン!ココだワン!メリークリスマス!だワン!」
山内くん的にはソプラノを意識しているのだろうけれど、彼は声変わりも終えた高校一年生。だからそれには無理があって、掠れ気味のハスキーボイスが、なんだか笑いを誘ってくる。
「ふふふ。ココ、今玄関開けるね」
「待ってるワン!」
ピッと画面を落としたわたしは、わくわくしながら玄関へと急いで駆けた。歩いたって数秒もあれば扉へ辿り着くのに、その数秒が、もどかしかったんだ。
「いらっしゃ──」
「ワワワワーン!!!」
玄関扉を開けるやいなや、わたしへ飛びついてきたチワワのぬいぐるみ。「可愛い可愛い」とそれを愛でていると、ぬいぐるみの後ろから照れくさそうな山内くんが顔を出した。
「メリクリ、胡都!お邪魔します!」
ココの声真似のままされた挨拶に、わたしはもう、大爆笑。彼もこれはうっかりだったらしく、急いで声色を戻していた。
「やっば、間違った!超恥ずかし!」
「あはははっ。もう一回やって、スマホに残したいっ」
「や、やらないし!胡都の意地悪!」
「あはははっ」
ぬいぐるみを抱えていつまでも笑うわたしを見て、山内くんはとても幸せそうだった。