「あー、しんどっ」
腫れた瞼でもなくここまで来るのに使った足でもなく、しんどいのは心の真ん中。ぽっかり穴の空いたそこに真冬の風でも吹いてくれれば麻痺するのに、手の施しようがなくて滅入ってしまう。
横たわるのに邪魔だと感じたコートを脱ぎ捨て、ごろんと枕に頭をつける。無機質な天井、そこを見つめる。昨日という日が順調だったならば、今頃胡都と俺の関係は、どうなっていたのだろうか。
わたしたちにとって特別なクリスマスイブになるって、そう思ってた。
夜の公園でそう言った彼女に、遅ればせながら俺も期待してしまう。ひょっとして俺等って、両想いだったんじゃないかって。
「って、おせえよ……」
しかし時すでに遅し、とつくづく感じて、つくづく悔いて。そしてつくづく胡都が好きなのだと気付かされる。
瞼を閉じて、暫くした。渡り廊下を通って体育館へと向かう生徒たちの声が窓から聞こえてきて、終業式が始まる九時前まで時計の針が進んだのだと知る。
「てか、西条先生も参加か」
過去の式典の様子を思い描くと、そこには西条先生の姿も一緒に浮かび上がった。式の最中貧血で眩んだ生徒に、彼女は連れ添っていた記憶がある。
「じゃあ、来ないじゃん」
それならばここにいる意味はないと背を起こしかけるが、こんな滑稽な瞳をふたつぶら下げた顔を胡都に見られるのも嫌だなと思い、すぐにその背を元の位置に戻した。
腫れた瞼でもなくここまで来るのに使った足でもなく、しんどいのは心の真ん中。ぽっかり穴の空いたそこに真冬の風でも吹いてくれれば麻痺するのに、手の施しようがなくて滅入ってしまう。
横たわるのに邪魔だと感じたコートを脱ぎ捨て、ごろんと枕に頭をつける。無機質な天井、そこを見つめる。昨日という日が順調だったならば、今頃胡都と俺の関係は、どうなっていたのだろうか。
わたしたちにとって特別なクリスマスイブになるって、そう思ってた。
夜の公園でそう言った彼女に、遅ればせながら俺も期待してしまう。ひょっとして俺等って、両想いだったんじゃないかって。
「って、おせえよ……」
しかし時すでに遅し、とつくづく感じて、つくづく悔いて。そしてつくづく胡都が好きなのだと気付かされる。
瞼を閉じて、暫くした。渡り廊下を通って体育館へと向かう生徒たちの声が窓から聞こえてきて、終業式が始まる九時前まで時計の針が進んだのだと知る。
「てか、西条先生も参加か」
過去の式典の様子を思い描くと、そこには西条先生の姿も一緒に浮かび上がった。式の最中貧血で眩んだ生徒に、彼女は連れ添っていた記憶がある。
「じゃあ、来ないじゃん」
それならばここにいる意味はないと背を起こしかけるが、こんな滑稽な瞳をふたつぶら下げた顔を胡都に見られるのも嫌だなと思い、すぐにその背を元の位置に戻した。