「胡都っ!」
寒さのせいか、乏しい明かりのせいか。虫も寄り付かぬ外灯の下に、胡都はいた。
「胡都、なんでだよ!なんで帰らなかったの!」
誰もいない公園のベンチにひとり座る彼女は朧げで、今にも消えてしまうのではないかと不安になるほど。約束の日にこんなに遅れてしまい、本当にごめんと思うけれど、店を出たなら帰ってほしかった。こんな寒空の下でいつまでも、待っていてはほしくなかった。その感情が強く出て、意図せずとも口調に比例してしまう。
「帰ればよかったじゃん!こんな寒いとこにずっといるくらいなら、俺のことなんか待ってないで先に帰っててよ!」
まるで怒っているような言い方だと、自分でも思った。悪いのはこちらだと明白なのに、何を頭ごなしに怒鳴っているのだと。
青白く染まった胡都の唇が震えていて、涙が出そうになる。彼女を包むように抱きしめると、俺の手よりも冷たい彼女の衣服に身震いがした。
「夕方になってお店が混み出してね、これ以上長居しちゃ、悪いと思って……」
「だから、それだったら先にっ」
「でも山内くん、必ず来るって言ってたから。待ってたかったの」
ああ、だめだ。
はらりと落ちた、涙の雫。やはり俺は、選択を間違えた。
寒さのせいか、乏しい明かりのせいか。虫も寄り付かぬ外灯の下に、胡都はいた。
「胡都、なんでだよ!なんで帰らなかったの!」
誰もいない公園のベンチにひとり座る彼女は朧げで、今にも消えてしまうのではないかと不安になるほど。約束の日にこんなに遅れてしまい、本当にごめんと思うけれど、店を出たなら帰ってほしかった。こんな寒空の下でいつまでも、待っていてはほしくなかった。その感情が強く出て、意図せずとも口調に比例してしまう。
「帰ればよかったじゃん!こんな寒いとこにずっといるくらいなら、俺のことなんか待ってないで先に帰っててよ!」
まるで怒っているような言い方だと、自分でも思った。悪いのはこちらだと明白なのに、何を頭ごなしに怒鳴っているのだと。
青白く染まった胡都の唇が震えていて、涙が出そうになる。彼女を包むように抱きしめると、俺の手よりも冷たい彼女の衣服に身震いがした。
「夕方になってお店が混み出してね、これ以上長居しちゃ、悪いと思って……」
「だから、それだったら先にっ」
「でも山内くん、必ず来るって言ってたから。待ってたかったの」
ああ、だめだ。
はらりと落ちた、涙の雫。やはり俺は、選択を間違えた。