「ちょっと胡都っ。美智から聞いたよー!?山内くんと付き合ったんだって!?」

 登校するやいなや、わたしの席へ駆け寄ってきたのは萌ちゃんとゆっぴー。「言うの遅くなってごめん」と謝れば、ゆっぴーが「いいなあ」と呟く。

「山内くん、人気だよ。入学して早々、他クラスの女子に校舎裏で告白されてるの見たもん」
「え、そうなの?」
「ぶっちゃけわたしも顔タイプだし〜!ああ、超羨ましいっ!」

 地団駄を踏んで悔しがるゆっぴーの隣で、萌ちゃんが朗らかに笑う。

「ゆっぴーだってこの前、三組の梨川(なしかわ)くんに告白されてたじゃない。どうして断っちゃったのお?」

 初耳なそれに、わたしは図らずとも前のめり。

「なにそれ知らなかったっ。ゆっぴーフったの?」

 そう聞くと、ゆっぴーはこくんと頷いた。

「だって、梨川くんのこと好きじゃないし。お互い一緒の気持ちじゃなきゃ、オーケーするのは失礼でしょ」

 当の然、と言わんばかりにはっきりと言い切った彼女の前、わたしは身の置き場がなくなった。何故ならわたしと山内くんは全く一緒の気持ちではないし、過去に他の人の告白を受け入れた時も、今と似た状況でオーケーしたから。