「胡都、本当にごめんっ。でも俺、もう行かなくちゃ」
「行かないで!」
「胡都……」
教室の掛け時計を見やる。電車に乗らねば辿り着かぬショッピングモール。アクセサリーを選ぶ時間がどのくらいかはわからぬが、何としてでもホテルへ着く前には、美智に会わなければいけない。
「行かないでよお……」
胡都の涙に、後ろ髪を引かれてしまいそうになった。だから俺はもう、ここにいてはいけないと思った。
「胡都、ごめん。本当に、ごめんなさい」
自席へ進み、コートを羽織る。鞄を取り、それを肩にかけ、廊下へ歩んでいると。
「じゃあ、待ってるからっ」
と、胡都の消え入りそうな声が聞こえて振り返る。
「約束したカフェで待ってるから、何時になってもいいから、だから来て」
教室の隅で蹲り、置いてけぼりの彼女。コートの上から、俺は痛む心臓を鷲掴んだ。
「わかった、必ず行く」
悲しませてごめん、胡都。美智を見つけたら、すぐ戻るから。そしたら一緒にケーキを食べよう。それまでに傷付けてしまった君の笑顔を作る方法も、考えておくね。
「行かないで!」
「胡都……」
教室の掛け時計を見やる。電車に乗らねば辿り着かぬショッピングモール。アクセサリーを選ぶ時間がどのくらいかはわからぬが、何としてでもホテルへ着く前には、美智に会わなければいけない。
「行かないでよお……」
胡都の涙に、後ろ髪を引かれてしまいそうになった。だから俺はもう、ここにいてはいけないと思った。
「胡都、ごめん。本当に、ごめんなさい」
自席へ進み、コートを羽織る。鞄を取り、それを肩にかけ、廊下へ歩んでいると。
「じゃあ、待ってるからっ」
と、胡都の消え入りそうな声が聞こえて振り返る。
「約束したカフェで待ってるから、何時になってもいいから、だから来て」
教室の隅で蹲り、置いてけぼりの彼女。コートの上から、俺は痛む心臓を鷲掴んだ。
「わかった、必ず行く」
悲しませてごめん、胡都。美智を見つけたら、すぐ戻るから。そしたら一緒にケーキを食べよう。それまでに傷付けてしまった君の笑顔を作る方法も、考えておくね。