みっちゃんが、よくわからない。彼女はきっとわたしに何か、隠し事をしていると思う。
「武藤くんも、いちご好きなの?」
山内くんとのクリスマスデートを明日に控えた放課後。高校近くの商店街で、大きな車輪が人目を引く自転車に跨る、武藤くんを発見した。
「伊吹さん」
「そのカフェのクリスマス限定ケーキ、美味しそうだよね」
彼と会ったのは、ヨーロッパ風のカフェの前。一度訪れたことがあるし、下見をするつもりはなかったが、ふらっと前を通ってみた。
「ああ、ええと。そのお……」
黒い縁の、メガネの奥。視点の行方に困ったふたつの瞳をあちらこちらに向けながら、彼は自身の黒髪に指を差し込んだ。
「み、みっちゃんさんが甘いもの好きかどうか、知ってますかっ?」
「え、みっちゃん?」
「そ、それか食べ物じゃなくても、興味のあるものとかっ」
カーッと赤く、顔全体を染める武藤くんに思うのはこんなこと。
「クリスマス、みっちゃんになにかプレゼントしたいの?」
そう聞くと、その真っ赤が更に濃くなった。
「え!そ、そんな風に聞こえました!?」
「うん。そういう風にしか聞こえなかった」
「ぎゃふん!」
ぎゃふん。漫画やアニメ以外でその言葉を使う人を初めて見て、ぷっと吹いてしまったわたし。汗を吹き出したのは、彼の方。
「武藤くんも、いちご好きなの?」
山内くんとのクリスマスデートを明日に控えた放課後。高校近くの商店街で、大きな車輪が人目を引く自転車に跨る、武藤くんを発見した。
「伊吹さん」
「そのカフェのクリスマス限定ケーキ、美味しそうだよね」
彼と会ったのは、ヨーロッパ風のカフェの前。一度訪れたことがあるし、下見をするつもりはなかったが、ふらっと前を通ってみた。
「ああ、ええと。そのお……」
黒い縁の、メガネの奥。視点の行方に困ったふたつの瞳をあちらこちらに向けながら、彼は自身の黒髪に指を差し込んだ。
「み、みっちゃんさんが甘いもの好きかどうか、知ってますかっ?」
「え、みっちゃん?」
「そ、それか食べ物じゃなくても、興味のあるものとかっ」
カーッと赤く、顔全体を染める武藤くんに思うのはこんなこと。
「クリスマス、みっちゃんになにかプレゼントしたいの?」
そう聞くと、その真っ赤が更に濃くなった。
「え!そ、そんな風に聞こえました!?」
「うん。そういう風にしか聞こえなかった」
「ぎゃふん!」
ぎゃふん。漫画やアニメ以外でその言葉を使う人を初めて見て、ぷっと吹いてしまったわたし。汗を吹き出したのは、彼の方。