ジャンケンをし、わたしから始まるゲーム。

「いち」
「ダウト」

 素知らぬ顔でカードを置いたのに、目の前から即刻疑われる。

「え、なんで」
「だって俺、エース四枚持ってるもん」

 ぴらっとその四枚を見せて、にかっと笑う山内くん。わたしはつい今しがたテーブルに置いたカードを、渋々手元に戻した。次は山内くんの番。

「いち」
「に」
「さん」

 根本くん、みっちゃんと泰然(たいぜん)としたふたりもカードを置けば、すぐさまふりだしに戻るターン。

「よん」
「ダウト」
「え」

 にやにやと、どこか嬉しそうな山内くんを前にぶうっとむくれ、計四枚のカードを手元に運んでいると、彼がぽそっと呟いた。

「胡都の嘘には俺、敏感だから」

 しかしそれからわたしのみに限らず、すぐ「ダウト」と言ってしまう山内くんには、根本くんから注意が入った。

「カードの山が高くなってから終盤で誰かが一気にもらうのが面白いゲームなんだから、少し黙れ」

 と。みっちゃんはそれを見て、「まじ山内ウケる」と笑っていた。