「男子たちおっそーい!」

 旅行当日。東京駅のメイン改札で待ち合わせしたわたしたち。数分遅れてやって来た山内くんと根本くんには、みっちゃんが()れていた。

「三十四分発の電車乗らないと、あっち着く時間一時間も変わっちゃうっ」

 足早に改札を抜け、飛び乗る電車。ふたりずつ向き合って座れる四人席を確保すると、根本くんがリュックから、トランプを取り出した。

「ダウトやろ、ダウト」

 ダウトとは、一から順番通りの数字を手札から出していくゲームだ。カードを裏返しに置いていき、相手のカードが口にした数字と異なると思ったら、周りがダウトと言うゲーム。

「ダウトって言われたやつのカードが間違った数字だったら、そいつはカードの山を全てもらわなくちゃいけないからなー。もしそいつのカードが合っていたら、ダウトって言った人間が山をもらう。先に手札をなくしたやつの勝ちね」

 簡単なルール説明をしながら、手際よくカードを配っていく根本くん。配り終わり、各々自分の手札をチェックする。わたしは数字にバラつきのない手元のカードに早速青ざめたが、真正面に座る山内くんは顔色ひとつ変えずに、自身の手元を眺めていた。