決まらないデート先のまま、高校最寄り駅まで来て、ふたりの定期券範囲が真逆の方面だということが判明して、山内くんは「胡都の地元の方まで行こうか」と言ってくれたけれど、わたしは「繁華街でもないし、つまらないよ」と笑った。

「はい、ココアでよかったんだよね?」
「うん、ありがとう」

 よって、わたしたちは電車を眺めながらお喋りができる、線路沿いの公園をチョイスした。次々に踏み切りを越えていくのは、同じ制服を纏った生徒たち。みっちゃんたちは、これを渡った先にある商店街のカラオケに行っただろうから、もうマイクを握っている頃だろうか。

 自動販売機で二本のドリンクを購入した山内くんは、ベンチへ座るわたしの隣に僅かな隙間を空けて腰を下ろすと、その間隔を拳ひとつ分空けて座り直していた。気をつかってくれているのかな、とそう思った。