あれだけ断ることを躊躇(ちゅうちょ)していたわたしがはっきりと言えた、剣崎先輩へのノーの言葉。それは必死にわたしを探し回ってくれた山内くんが背中に手を添えてくれたからで、彼がいなければ、わたしは未だに殻に閉じこもったままだった。

 もし剣崎と胡都が別れたらさ、俺からもう一度、告白していい?三度目の正直ってやつ。

 山内くんがくれたその言葉を信じ、待ち侘びて過ごす日々。けれど期待虚しく捲られるカレンダーは、とうとう十二月に突入した。