姉貴の通夜と葬式を土日で終え、月曜日の朝は普通に登校。悲しみに暮れる時間さえも与えてくれないこの世をどうかと思うけれど、今の俺にとっては都合がいい。何故ならエックスデーを目前に控えているから。

「あいつのインフル長引いてなければ、明日には登校して来るよな……」

 剣崎がインフルエンザだと言って休んだのは、先週の木曜日。俺の計算が正しければ、やつの復活は最短で今週の火曜日だ。
 今日のバイトは事前に休みをとっておいた。胡都を何としてでも説得し、剣崎との関係を断たせる。それが俺の使命だと言っても過言ではない。

 胸板へ拳をあて、大きく息を吐く。話の切り出し方や、伝える言葉の選定をしながらゆっくり歩いていれば、学校へは遅刻してしまった。