「剣崎がインフルから復活する前に、どうにかして胡都のトラウマとれないかなあ……」
壁へ寄りかかっていた身体を雪崩れるように滑らせて、その場でドカッと胡座をかく。
「なんで胡都なんだよ、まじで。まあ、可愛いし気持ちはわかるけど」
タンッタンッと指を腿で弾きぼやいていれば、美智が「ゾッコンだねえ」と苦笑い。
「山内なら救えるよ、胡都のこと」
「方法が思いつかん」
「剣崎には危ないからついて行くなって、わたしももういっぺん言ってみる」
「うん。てか、美智もな」
「え?」
目線の位置が急降下して、一番最初に見えたもの。それは、高級ブランドの名が刻まれた紙袋だった。
「ネットで知り合ったおじさんと遊ぶのは勝手だけど、中には危険なやつもいるだろうから」
「なに。山内ってば干渉するタイプだったの?だったら言わなきゃよかった〜」
「美智になにかあったら、胡都が傷付くだろ」
「ひっど。わたしの心配しろし」
べえっと舌を出されて、ははっと笑って。エレベータから脱出するまで美智とふたりきりで過ごした十数分間は、案外早く感じた。
壁へ寄りかかっていた身体を雪崩れるように滑らせて、その場でドカッと胡座をかく。
「なんで胡都なんだよ、まじで。まあ、可愛いし気持ちはわかるけど」
タンッタンッと指を腿で弾きぼやいていれば、美智が「ゾッコンだねえ」と苦笑い。
「山内なら救えるよ、胡都のこと」
「方法が思いつかん」
「剣崎には危ないからついて行くなって、わたしももういっぺん言ってみる」
「うん。てか、美智もな」
「え?」
目線の位置が急降下して、一番最初に見えたもの。それは、高級ブランドの名が刻まれた紙袋だった。
「ネットで知り合ったおじさんと遊ぶのは勝手だけど、中には危険なやつもいるだろうから」
「なに。山内ってば干渉するタイプだったの?だったら言わなきゃよかった〜」
「美智になにかあったら、胡都が傷付くだろ」
「ひっど。わたしの心配しろし」
べえっと舌を出されて、ははっと笑って。エレベータから脱出するまで美智とふたりきりで過ごした十数分間は、案外早く感じた。