「こっちの方でいいのね?」
「ああ、サリアと一緒に地図を見ながら回ってくれ。護衛は頼んだぞ、お前達」
<うぉふ!>
<あ”ー!>
俺の号令でアロンとポンチョ、そしてスライム達がずらりと整列してそれぞれアピールをしサリア達の後を追う。
――さて、母ちゃんの召喚から2週間ほど経った。
経過は順調で、向こうに居た時は薬も飲んでいて体がしんどかったそうだが、飲まなくても平気だしむしろその辺の冒険者よりも強い。
もう金もあるし家でゆっくりしていて欲しいと思ったのだが、今日は自分も連れて行けと言いだしたのである。
アロンやポンチョ達も懐いているんだけど、あいつらも仕事の時は留守番をしてくれないので寂しいらしい。
◆ ◇ ◆
「ジュエリーサンゴを見つめているだけの一日は地獄よ?」
「買い物にでもいけばいいだろ……」
「ならサリアちゃんを置いて行ってよー。あ、そうだ、あたしも仕事するわ! そしたらこの子達も一緒よね」
<わん♪>
<あ”->
◆ ◇ ◆
という割とどうでもいい理由でついてきたというわけ。
……余談だが、ルアンが最後に気を利かせたらしく、目が覚めたら庭に実家である一戸建てが増えていた。父方の爺さんの持ち家だったから丸々ウチのものなので、向こうで消えるよりはと思ったのかもしれない。
俺の部屋もまんま残っていたので、漫画やらベース、野球のグローブにサッカーボールに自転車などなど……増えてはいけないものが増えた気がする。
<サッカーボールは我とアロンで使わせてほしい>
とはダイトの言葉だが、やはり追いかけるのが楽しいようだ。トランポリンに続くお気に入りが増えたアロン。
ポンチョはスケボーが気に入ったようで、小さい身体を使って軽快に滑っていた。
スライム達はこたつの上がお気に入り。
そんな感じで母ちゃんは自宅、俺とサリアはソリッド様の建ててくれた家と差別化も図れているのも特徴的だ。庭が狭くなったから騎士達が集まってバーベキューは難しくなったけどな。
◆ ◇ ◆
「ここがこの住所になりますね!」
「なるほどねえ。きちんと配達できる仕組みになっているから成り立つのね」
「はい! こんにちはー、お届け物でーす」
私はお母さまと一緒に荷物配達をすることに。
息子であるヒサトラさんと行くかと思ったけど意外なことに私と一緒に行きたいと言いだしたのだ。
「ふう……サリアちゃんは可愛いわね……おばさん、娘も欲しかったのよ。いつ結婚するの?」
「あ、その……ありがとうございます。お母さまがこっちに来てから考えたいってヒサトラさんが言ってましたから、そのうちじゃないかなと」
「……ちなみにまだしてないの?」
「……! はい。ヒサトラさん、そういうの全然なかったですね。そこが好きになった部分でもあるんですけど!」
「あー、最初の事件ね」
襲われてもおかしくない状況だったけどそうしなかった彼はやっぱり誠実なんだと思うなあ。
それはそれとして――
「私も両親が居ないので、お母さまが出来たら嬉しいです!」
「あら、嬉しいわね。ふふ、異世界だなんて驚いたけど、可愛い娘ができるならアリね」
<わんわん!>
<あ”ー!>
「アロンちゃんにポンチョ、ナンパ師を撃退してくれたの? ありがと♪」
最近だとみんながガードしてくれるのでナンパの心配もなかったりして。お母さまも私も強いから簡単に連れ去られたりしないけど、アロンちゃんたちも頼もしい。
「はいはい、プロフィアちゃん達、顔にへばりついてないで行くわよー」
<♪>
「懐いてるなあ」
ヒサトラさんもそうだったけど、ニホンジンって順応性が高いのかしら?
でもお母さまに喜ばれてよかったな。孤児となんて結婚反対! って人も多いしね。
「行くわよサリアちゃんー」
「はーい!」
早く結婚したいな、この三人なら私が欲しかった家庭がきっとできる。そう思えるから――
◆ ◇ ◆
<遅いな、迎えに行かなくていいのか?>
「まあ、ここが最後だし、アロン達もいるから平気だろ。母ちゃんには俺でも勝てるかどうかだぞ?」
<確かに……む? ヒサトラ、空を見ろ>
「星を見ろってか? お、ありゃシルバードラゴンか」
久しぶりに見たな、どこかへ行っているのか? とか考えていると、くるっと方向を変えて急降下してきた!?
珍しく大雑把な着地で風圧に耐えていると、シルバードラゴンが慌てた口調で俺達に話しかけてきた。
<おおおお! ヒサトラではないか!! ここで会ったが一か月ぶり! すまん、助けてくれい!>
「落ち着け、ホバリングで周囲の人が吹き飛んでいるだろ!? 丁度サリア達も帰って来たし、外で話を聞かせてくれ」
と、いうわけで外に出て話を聞くと、結構大変な事態で驚いた。
なんとドラゴンの卵が冒険者達に狙われているというのだ。
有精卵は貴重で、生まれたばかりのドラゴンは全身素材となるので、ある程度成長させて殺し、売り飛ばされたりするらしい。
<ワシが飛び回っていたからつけられたのかもしれん……頼む、卵と嫁さんを匿ってくれんか? 息子は人間を撃退したもののケガを負ってな。あやつも狩られる可能性が高い!>
「いいぜ、でも卵を持って飛んでくりゃいいだろ?」
<加減が難しいから持ち出すことはできんのだ。そのトラックとやらならいけるじゃろうと思ってな>
なるほど、賢い選択だ。
「ヒサトラさん、このまま行きましょう!」
「よくわからないけど、友人? のピンチなら手助けするのが人間よね」
<我達が要れば人間など容易い。ゆくぞ!>
俺達も人間だけどな!?
そんなわけで俺達はドラゴンの巣へと向かうことになった。
「ああ、サリアと一緒に地図を見ながら回ってくれ。護衛は頼んだぞ、お前達」
<うぉふ!>
<あ”ー!>
俺の号令でアロンとポンチョ、そしてスライム達がずらりと整列してそれぞれアピールをしサリア達の後を追う。
――さて、母ちゃんの召喚から2週間ほど経った。
経過は順調で、向こうに居た時は薬も飲んでいて体がしんどかったそうだが、飲まなくても平気だしむしろその辺の冒険者よりも強い。
もう金もあるし家でゆっくりしていて欲しいと思ったのだが、今日は自分も連れて行けと言いだしたのである。
アロンやポンチョ達も懐いているんだけど、あいつらも仕事の時は留守番をしてくれないので寂しいらしい。
◆ ◇ ◆
「ジュエリーサンゴを見つめているだけの一日は地獄よ?」
「買い物にでもいけばいいだろ……」
「ならサリアちゃんを置いて行ってよー。あ、そうだ、あたしも仕事するわ! そしたらこの子達も一緒よね」
<わん♪>
<あ”->
◆ ◇ ◆
という割とどうでもいい理由でついてきたというわけ。
……余談だが、ルアンが最後に気を利かせたらしく、目が覚めたら庭に実家である一戸建てが増えていた。父方の爺さんの持ち家だったから丸々ウチのものなので、向こうで消えるよりはと思ったのかもしれない。
俺の部屋もまんま残っていたので、漫画やらベース、野球のグローブにサッカーボールに自転車などなど……増えてはいけないものが増えた気がする。
<サッカーボールは我とアロンで使わせてほしい>
とはダイトの言葉だが、やはり追いかけるのが楽しいようだ。トランポリンに続くお気に入りが増えたアロン。
ポンチョはスケボーが気に入ったようで、小さい身体を使って軽快に滑っていた。
スライム達はこたつの上がお気に入り。
そんな感じで母ちゃんは自宅、俺とサリアはソリッド様の建ててくれた家と差別化も図れているのも特徴的だ。庭が狭くなったから騎士達が集まってバーベキューは難しくなったけどな。
◆ ◇ ◆
「ここがこの住所になりますね!」
「なるほどねえ。きちんと配達できる仕組みになっているから成り立つのね」
「はい! こんにちはー、お届け物でーす」
私はお母さまと一緒に荷物配達をすることに。
息子であるヒサトラさんと行くかと思ったけど意外なことに私と一緒に行きたいと言いだしたのだ。
「ふう……サリアちゃんは可愛いわね……おばさん、娘も欲しかったのよ。いつ結婚するの?」
「あ、その……ありがとうございます。お母さまがこっちに来てから考えたいってヒサトラさんが言ってましたから、そのうちじゃないかなと」
「……ちなみにまだしてないの?」
「……! はい。ヒサトラさん、そういうの全然なかったですね。そこが好きになった部分でもあるんですけど!」
「あー、最初の事件ね」
襲われてもおかしくない状況だったけどそうしなかった彼はやっぱり誠実なんだと思うなあ。
それはそれとして――
「私も両親が居ないので、お母さまが出来たら嬉しいです!」
「あら、嬉しいわね。ふふ、異世界だなんて驚いたけど、可愛い娘ができるならアリね」
<わんわん!>
<あ”ー!>
「アロンちゃんにポンチョ、ナンパ師を撃退してくれたの? ありがと♪」
最近だとみんながガードしてくれるのでナンパの心配もなかったりして。お母さまも私も強いから簡単に連れ去られたりしないけど、アロンちゃんたちも頼もしい。
「はいはい、プロフィアちゃん達、顔にへばりついてないで行くわよー」
<♪>
「懐いてるなあ」
ヒサトラさんもそうだったけど、ニホンジンって順応性が高いのかしら?
でもお母さまに喜ばれてよかったな。孤児となんて結婚反対! って人も多いしね。
「行くわよサリアちゃんー」
「はーい!」
早く結婚したいな、この三人なら私が欲しかった家庭がきっとできる。そう思えるから――
◆ ◇ ◆
<遅いな、迎えに行かなくていいのか?>
「まあ、ここが最後だし、アロン達もいるから平気だろ。母ちゃんには俺でも勝てるかどうかだぞ?」
<確かに……む? ヒサトラ、空を見ろ>
「星を見ろってか? お、ありゃシルバードラゴンか」
久しぶりに見たな、どこかへ行っているのか? とか考えていると、くるっと方向を変えて急降下してきた!?
珍しく大雑把な着地で風圧に耐えていると、シルバードラゴンが慌てた口調で俺達に話しかけてきた。
<おおおお! ヒサトラではないか!! ここで会ったが一か月ぶり! すまん、助けてくれい!>
「落ち着け、ホバリングで周囲の人が吹き飛んでいるだろ!? 丁度サリア達も帰って来たし、外で話を聞かせてくれ」
と、いうわけで外に出て話を聞くと、結構大変な事態で驚いた。
なんとドラゴンの卵が冒険者達に狙われているというのだ。
有精卵は貴重で、生まれたばかりのドラゴンは全身素材となるので、ある程度成長させて殺し、売り飛ばされたりするらしい。
<ワシが飛び回っていたからつけられたのかもしれん……頼む、卵と嫁さんを匿ってくれんか? 息子は人間を撃退したもののケガを負ってな。あやつも狩られる可能性が高い!>
「いいぜ、でも卵を持って飛んでくりゃいいだろ?」
<加減が難しいから持ち出すことはできんのだ。そのトラックとやらならいけるじゃろうと思ってな>
なるほど、賢い選択だ。
「ヒサトラさん、このまま行きましょう!」
「よくわからないけど、友人? のピンチなら手助けするのが人間よね」
<我達が要れば人間など容易い。ゆくぞ!>
俺達も人間だけどな!?
そんなわけで俺達はドラゴンの巣へと向かうことになった。