「ぐがー……」
「あらら、寝ちゃいましたね」
「よく分かんねぇけど晴れるように祈ってたらしいな。もしかして徹夜でなんかやってたのか?」
<わふわふ>
アロンがのぞき窓を見ながらコンテナの状況を確認して鳴いていたのでトラックを止めて後ろを見ると、騎士達は大人しく座っている……のかと思いきや――
「燃え尽きている……。まあ、もし魔物が出てもダイトが居るし、そっとしとこう」
草原までは2時間程度だが少しでも休んでもらいたいところである。ソリッド様、いい人だけどたまに暴走するよなあ。それでも王都の家と庭はタダだし、俺から文句を言える立場ではないんだけどな。
そんなこんなで到着した草原はボチボチ乾いていた。
もう少し地面を踏み固めたいところだが、今日はゴルフクラブの使い方を教えるだけなのでいいかとティーを刺す場所をならしておく。
<きゅんきゅん♪>
「お前もやってくれるか? この辺を、こう、ペシペシってやるんだ」
<きゅーん♪>
俺が足で踏み鳴らすとなにかがアロンの琴線に触れたらしくぺちぺちと叩きだす。
サリアは火を魔道具で出してお昼を食べるスペースを乾かしていた。
「~♪」
……ああいうのは元の世界でもないから共存はできると思うな。バスレイはもうちょっと誇るべきである。
それはともかくカップの穴を開けて、持ってきた物干し竿にタオルを結び付けて立てる。
青いタオルだからティーを立てたところからでも十分に見えるな。
<わふ……わふ……>
「こら、タオルが破れるからダメだ」
<きゅふーん……>
残念そうな声を上げるが、後でトランポリンで遊ばせれば満足するだろう。
用意はできたのでとサリアの下へ戻り、乾かした場所にタープを立ててキャンプで使う椅子に座った。
<あれをどうするのだ?>
「あの下に穴があってな、このボールをこいつで打って入れるんだ」
<ほう、面白いことを考えるものだな>
ダイトがアロンの弄ぶゴルフボールを見ながら興味深げにそんなことを言う。ある程度準備が終わり、到着から一時間ほど経過したころにようやく全員が起き出して来た。
「すまない、寝てしまっていたな。んー……いい天気だ、儀式をした甲斐が――」
「陛下、それは……」
「む、そうだな。さて、それじゃひとつご教授願おうか!」
「ソリッド様、その前に食事にしませんか? その後でも遅くはないかと」
「美味しそうですね、陛下いただいてからにしませんか?」
「そうだな、ここまでくればもう邪魔は入るまい」
「はは……」
儀式とか怪しいワードが出たがスルーしておこう。
それとソリッド様、それはフラグになるからやめてくれ。
とは思ったが、意外とそんなことは無くご飯を食べた後も天気は崩れずついにソリッド様へゴルフを教えることとなった。
「――で、あのタオルがある物干し竿のところに穴があるので、そこに少ない打数で入れた人が勝ち、というゲームです」
「なるほど、クラブが沢山あるのは何故だ?」
「これは用途によって変わり、例えばこれ、ドライバーは遠くへ飛ばすために使います。ダイト、悪いんだが打った球を追って拾ってきてくれるか?」
<む? いいぞ>
「頼む。このティーを刺して皿に乗せてから……シュ!」
「おお!」
久しぶりに打ったが結構いいインパクトをし、天高く飛んでいく。
ダイトが球を拾いにいき、アロンもダッシュでついていった。
<きゅんきゅん!>
<仕方ないだろう、我の方が速いのだ>
ダイトが球を咥えて戻って来るが、息子が取れなかったと抗議しているらしく髭をびよんびよん叩かれていた。
まあ、機会はあるし次はアロンに頼むか。
そこからアイアンとパターの使い方、俺の下手くそな絵をパソコンでサリアがしっかり書いてくれたホールで、こういう風に使うのだというレクチャーを続け、いよいよ実戦と相成った。
「アイアンで角度をつけてあげるのかっこいいな」
「俺はやっぱドライバーでぶっ放したいぜ」
「よし、ではやるか! あそこだな?」
2000メートルくらい離れた場所からスタート。短いが慣れるまではこんなものだろう、そもそもカップを立てたが入るとも限らないしな。
そしてソリッド様の第一打――
「ハッ!」
「おお!」
「どわっ!?」
大きく空振り!!
初スイングならこんなものだろうと俺は苦笑する。そして第二打も大きくすっころんだところで騎士が手を上げて口を開く。
「ぬう、球が小さいから難しいな」
「陛下、大振りはまずいのでは?」
「そうしないと飛ばせないだろう?」
「しかし、まずは当てることに心血を注いだ方がいいかと」
なるほど、いい案だ。
そこでスイングをコンパクトにしたところしっかりヒットし、数メートル飛ばす。
「お! いい感じだ! 次はヒサトラ君かね?」
「一応、勝負ごとなんで相手がいないと面白くないでしょうからやりますね。騎士さんも二人位混ざりません?」
「「「おう!!」」」
俺もドライバーで適当に振ると、これまたいい感じでインパクトして1000メートルくらい飛んだ。
「ぐぬぬ、抜かされると悔しいな」
「はは、最終的に少ない回数でカップに入れれば勝ちなんで飛距離よりも正確さかもって思ってますけどね……ん?」
<きゅんきゅん!>
「あ!? お前、俺の打った球を持ってきたのか!?」
<きゅ~ん♪>
「ふふ、満足そうですよ」
仕方ないヤツであるが、可愛いので許す。
とりあえず俺が打つとアロンが取りに行くので、騎士に委ねゴルフ勝負が始まった。
「あらら、寝ちゃいましたね」
「よく分かんねぇけど晴れるように祈ってたらしいな。もしかして徹夜でなんかやってたのか?」
<わふわふ>
アロンがのぞき窓を見ながらコンテナの状況を確認して鳴いていたのでトラックを止めて後ろを見ると、騎士達は大人しく座っている……のかと思いきや――
「燃え尽きている……。まあ、もし魔物が出てもダイトが居るし、そっとしとこう」
草原までは2時間程度だが少しでも休んでもらいたいところである。ソリッド様、いい人だけどたまに暴走するよなあ。それでも王都の家と庭はタダだし、俺から文句を言える立場ではないんだけどな。
そんなこんなで到着した草原はボチボチ乾いていた。
もう少し地面を踏み固めたいところだが、今日はゴルフクラブの使い方を教えるだけなのでいいかとティーを刺す場所をならしておく。
<きゅんきゅん♪>
「お前もやってくれるか? この辺を、こう、ペシペシってやるんだ」
<きゅーん♪>
俺が足で踏み鳴らすとなにかがアロンの琴線に触れたらしくぺちぺちと叩きだす。
サリアは火を魔道具で出してお昼を食べるスペースを乾かしていた。
「~♪」
……ああいうのは元の世界でもないから共存はできると思うな。バスレイはもうちょっと誇るべきである。
それはともかくカップの穴を開けて、持ってきた物干し竿にタオルを結び付けて立てる。
青いタオルだからティーを立てたところからでも十分に見えるな。
<わふ……わふ……>
「こら、タオルが破れるからダメだ」
<きゅふーん……>
残念そうな声を上げるが、後でトランポリンで遊ばせれば満足するだろう。
用意はできたのでとサリアの下へ戻り、乾かした場所にタープを立ててキャンプで使う椅子に座った。
<あれをどうするのだ?>
「あの下に穴があってな、このボールをこいつで打って入れるんだ」
<ほう、面白いことを考えるものだな>
ダイトがアロンの弄ぶゴルフボールを見ながら興味深げにそんなことを言う。ある程度準備が終わり、到着から一時間ほど経過したころにようやく全員が起き出して来た。
「すまない、寝てしまっていたな。んー……いい天気だ、儀式をした甲斐が――」
「陛下、それは……」
「む、そうだな。さて、それじゃひとつご教授願おうか!」
「ソリッド様、その前に食事にしませんか? その後でも遅くはないかと」
「美味しそうですね、陛下いただいてからにしませんか?」
「そうだな、ここまでくればもう邪魔は入るまい」
「はは……」
儀式とか怪しいワードが出たがスルーしておこう。
それとソリッド様、それはフラグになるからやめてくれ。
とは思ったが、意外とそんなことは無くご飯を食べた後も天気は崩れずついにソリッド様へゴルフを教えることとなった。
「――で、あのタオルがある物干し竿のところに穴があるので、そこに少ない打数で入れた人が勝ち、というゲームです」
「なるほど、クラブが沢山あるのは何故だ?」
「これは用途によって変わり、例えばこれ、ドライバーは遠くへ飛ばすために使います。ダイト、悪いんだが打った球を追って拾ってきてくれるか?」
<む? いいぞ>
「頼む。このティーを刺して皿に乗せてから……シュ!」
「おお!」
久しぶりに打ったが結構いいインパクトをし、天高く飛んでいく。
ダイトが球を拾いにいき、アロンもダッシュでついていった。
<きゅんきゅん!>
<仕方ないだろう、我の方が速いのだ>
ダイトが球を咥えて戻って来るが、息子が取れなかったと抗議しているらしく髭をびよんびよん叩かれていた。
まあ、機会はあるし次はアロンに頼むか。
そこからアイアンとパターの使い方、俺の下手くそな絵をパソコンでサリアがしっかり書いてくれたホールで、こういう風に使うのだというレクチャーを続け、いよいよ実戦と相成った。
「アイアンで角度をつけてあげるのかっこいいな」
「俺はやっぱドライバーでぶっ放したいぜ」
「よし、ではやるか! あそこだな?」
2000メートルくらい離れた場所からスタート。短いが慣れるまではこんなものだろう、そもそもカップを立てたが入るとも限らないしな。
そしてソリッド様の第一打――
「ハッ!」
「おお!」
「どわっ!?」
大きく空振り!!
初スイングならこんなものだろうと俺は苦笑する。そして第二打も大きくすっころんだところで騎士が手を上げて口を開く。
「ぬう、球が小さいから難しいな」
「陛下、大振りはまずいのでは?」
「そうしないと飛ばせないだろう?」
「しかし、まずは当てることに心血を注いだ方がいいかと」
なるほど、いい案だ。
そこでスイングをコンパクトにしたところしっかりヒットし、数メートル飛ばす。
「お! いい感じだ! 次はヒサトラ君かね?」
「一応、勝負ごとなんで相手がいないと面白くないでしょうからやりますね。騎士さんも二人位混ざりません?」
「「「おう!!」」」
俺もドライバーで適当に振ると、これまたいい感じでインパクトして1000メートルくらい飛んだ。
「ぐぬぬ、抜かされると悔しいな」
「はは、最終的に少ない回数でカップに入れれば勝ちなんで飛距離よりも正確さかもって思ってますけどね……ん?」
<きゅんきゅん!>
「あ!? お前、俺の打った球を持ってきたのか!?」
<きゅ~ん♪>
「ふふ、満足そうですよ」
仕方ないヤツであるが、可愛いので許す。
とりあえず俺が打つとアロンが取りに行くので、騎士に委ねゴルフ勝負が始まった。