エンジン音が悲しく響く。

君がいた頃は話し声で車の音なんて気にしたこともなかった。

あてもないひとりきりのドライブは、

無意識に思い出の地を巡る。

流れる曲も景色も、全部君の匂いがする。


助手席に座る君の幻影を映す瞳から一筋の涙が伝った。

「…………っ」


君がいないだけでこの街が随分住みにくい。