誰もが私のことを優しいと言った。

誰にでも尽くす私を皆が(した)ってくれた。

彼を除いては。

「誰にでも優しいだなんて無責任だ」

そう彼は私を一蹴(いっしゅう)した。

「ひとりになるのが怖いの」

「なら俺がいてやる」


私はそのとき、はじめて責任の伴った優しさに触れた。


周りに誰もいなくなった責任を彼に取ってもらおう。