金木犀(きんもくせい)を見ると、君を思い出す。

あの甘く(かぐわ)しい香りが漂う道をふたりで歩きながら、

いつも僕から手を繋いでいた。


金木犀の花言葉である『謙虚』はまさに君のことで、

だから僕が慣れたフリをしてリードしていたのが懐かしい。


でも、僕も金木犀だったんだ。

金木犀のもうひとつの花言葉は『初恋』なんだから。